資格試験の中にはパターンを勉強したり丸暗記を行うことによって十分に対応することができるものも少なくありません。
しかし、簿記検定の場合は、計算が重視され、実践的な応用力や計算能力が求められるため、合格にはある程度のハードルがあります。簿記の勉強時間については、別ページで解説しています。
簿記検定は、合格点が明確にされており、一定以上の点数を取っておかなくてはいけません。特に2級以上になると高い計算能力や法改正の基準などをきちんと理解しておかなくてはいけません。
ただし、難易度が高くなるほどその資格を持っていることに対する優位性は得られるようになります。
1級に関しては、所持しているだけでも非常に高い評価を会社にしてもらえますので、キャリアアップや給料の底上げに大きな貢献ができるようになります。
簿記検定試験の級ごとの難易度
日商簿記検定1級の難易度
日商簿記検定1級は、最も難易度が高いレベルの簿記検定試験です。この試験を合格するには、簿記・会計の専門知識が豊富であり、実務経験があることが前提とされています。1級試験の内容は、簿記の基本的な取引や会計処理だけでなく、財務諸表の作成や分析、税務処理など幅広い知識が求められます。
独学ではなかなか難しい難易度になってしまいますので、特に1級になると、専門的なスクールなどに通って勉強を進めていくことが一般的です。
1級試験では、次のような内容が出題されます。
- 会計基準や法令に基づく会計処理
- 税務処理や税効果会計
- 財務諸表の作成、分析、評価
- 連結財務諸表の作成や連結調整
- コスト計算や管理会計
- 予算管理や資金繰り
日商簿記検定1級の合格率は、通常10%前後とされており、非常に難しい試験と言われています。しかし、1級を取得することで、会計や経理の専門家としての資質が認められ、企業や経済界での信頼が高まります。1級取得者は、企業の経営層や税理士、公認会計士などの専門職に就くことが多いです。
1級試験に合格するためには、基本的な簿記知識を習得した上で、独学や専門学校、通信教育などを利用して、幅広い会計知識を身につけることが重要です。また、過去問題の練習や模擬試験を繰り返し行うことで、試験対策を万全にすることが望ましいです。
尚、日本商工会議所の掲げる簿記1級のレベルは以下のようになっています。
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。 合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。
簿記|商工会議所の検定試験
日商簿記検定2級の難易度
日商簿記検定2級は、中級レベルの簿記検定試験で、簿記の基本的な知識や実務経験があることが前提とされています。2級試験は、初級レベルの3級よりも難易度が高く、実務でよく使われる簿記処理が主な対象となります。ただし、最も難しい1級試験に比べると、2級の難易度はやや低いです。
日商簿記検定2級の試験範囲は以下の通りです。
- 基本的な仕訳の記入と帳簿処理
- 試算表、貸借対照表、損益計算書の作成
- 一般的な会計処理や取引の処理(売掛金、買掛金、棚卸資産など)
- 固定資産の減価償却や繰延税金処理
- 消費税の計算と仕訳
- 決算処理(期末の在庫評価、費用の見込み計上、損益の処理など)
2級試験の合格率は、おおよそ30%前後と言われており、それなりの難易度がある試験です。ただし、継続的な学習と練習を行うことで、十分に合格が可能です。
2級取得者は、一般的な経理業務や会計事務所での仕事に活用できるスキルを持っているとされています。2級試験に合格するためには、基本的な簿記知識を習得した上で、過去問題の練習や模擬試験を繰り返し行うことが重要です。また、独学だけでなく、専門学校や通信教育などを活用することで、効果的な学習が可能です。
尚、日本商工会議所の掲げる簿記2級のレベルは以下のようになっています。
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
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日商簿記検定3級の難易度
日商簿記検定3級は、初級レベルの簿記検定試験で、簿記の基礎を学び始めたばかりの方や実務経験が浅い方向けの試験です。3級試験は、簿記の基本的な概念や仕訳、帳簿の作成方法などが対象となります。そのため、1級や2級に比べると、難易度は低いです。
日商簿記検定3級の試験範囲は以下の通りです。
- 簿記の基本的な概念と用語
- 仕訳の基本ルールと取引事例に基づく仕訳記入
- 帳簿の種類(総勘定元帳、試算表、貸借対照表、損益計算書)と作成方法
- 基本的な会計処理(売上、仕入、給与、販売費及び一般管理費など)
- 決算処理の基本(期末の在庫評価、費用の見込み計上、損益の処理など)
3級試験の合格率は、おおよそ60%前後と言われており、継続的な学習と練習を行うことで、合格が十分に可能です。3級取得者は、基本的な経理業務や小規模企業での仕事に活用できるスキルを持っているとされています。
3級試験に合格するためには、簿記の基本知識を習得し、過去問題の練習や模擬試験を繰り返し行うことが重要です。また、独学だけでなく、専門学校や通信教育などを活用することで、効果的な学習が可能です。3級を取得した後は、さらに簿記の知識を深めるために、2級や1級の試験に挑戦することが推奨されます。
尚、日本商工会議所の掲げる簿記3級のレベルは以下のようになっています。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。 基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル。
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日商簿記検定初級の難易度
日商簿記検定初級は、簿記の初心者向けの試験で、最も基本的な簿記知識を評価する試験です。初級試験は、簿記の基本的な概念や用語、簡単な仕訳の記入方法などが対象となります。そのため、3級や2級、1級に比べると、難易度はかなり低いです。
日商簿記検定初級の試験範囲は以下の通りです。
- 簿記の基本的な概念と用語
- 仕訳の基本ルールと簡単な取引事例に基づく仕訳記入
- 帳簿の種類(総勘定元帳、試算表)と作成方法
- 基本的な会計処理(売上、仕入、給与、販売費及び一般管理費など)
初級試験の合格率は、おおよそ70%前後と言われており、継続的な学習と練習を行うことで、合格が十分に可能です。初級取得者は、基本的な経理業務や小規模企業での仕事に活用できるスキルを持っているとされています。
初級試験に合格するためには、簿記の基本知識を習得し、過去問題の練習や模擬試験を繰り返し行うことが重要です。また、独学だけでなく、専門学校や通信教育などを活用することで、効果的な学習が可能です。初級を取得した後は、さらに簿記の知識を深めるために、3級や2級の試験に挑戦することが推奨されます。
尚、日本商工会議所の掲げる簿記初級のレベルは以下のようになっています。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが日常業務をこなすための基礎知識。簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用することができる。
簿記|商工会議所の検定試験