会計事務所や税理士法人に勤めながら税理士試験の合格を目指す場合、最大の壁になるのが「繁忙期に勉強時間が取れない」という問題です。この記事では、会計事務所の一般的な業務サイクルを踏まえて、繁忙期前・繁忙期中・直前期でどのように学習時間を配分すればよいかを整理します。
会計事務所の繁忙期はいつ来るか
事務所によって業務の内訳は異なりますが、多くの会計事務所・税理士法人には共通して次のような繁忙のタイミングがあります。
| 時期 | 主な業務 | 学習への影響 |
|---|---|---|
| 12月 | 年末調整、賞与計算のサポート | 残業が増え、平日の学習時間が減りやすい |
| 1月 | 法定調書・給与支払報告書の作成 | 年末調整に続き、月初から立て込みやすい |
| 2月〜3月中旬 | 所得税の確定申告 | 最も繁忙度が高く、休日出勤が発生する事務所もある |
| 5月 | 3月決算法人の申告期限 | 決算集中月の事務所は繁忙が続く |
| 8月直前(税理士試験本番前) | 事務所によっては比較的落ち着く時期 | 直前期の追い込みに充てやすい |
税理士試験は例年8月に実施されており、令和8年度(2026年度)は8月4日(火)〜6日(木)の日程で実施されました(国税庁公告)。次回・令和9年度(2027年度)試験も同様に8月上旬の実施が見込まれますが、正式な日程は国税庁の公告で確認してください。試験本番の直前期(6月〜7月)は、事務所によっては確定申告期ほどの繁忙がないケースもあり、追い込み学習の時間を確保しやすい時期といえます。
繁忙期前・繁忙期中・直前期の学習配分の考え方
合格を保証するものではありませんが、週あたりの学習可能時間を段階的に整理すると、計画を立てやすくなります。以下はあくまで一例であり、実際の業務量・科目・学習進度によって調整が必要です。
| 時期 | 週の学習時間の目安(例) | 優先すべき学習内容 |
|---|---|---|
| 繁忙期前(9月〜11月) | 週15時間程度を確保できる場合が多い | 基礎講義のインプット、計算の型づくり |
| 繁忙期中(12月〜3月) | 週5〜10時間に落ちることを前提に計画する | 暗記事項の復習、通勤時間での音声・理論暗記 |
| 繁忙期後〜直前期(4月〜7月) | 週15〜20時間を目標に引き上げる | 答練・過去問演習、直前対策講座での総復習 |
ポイントは、繁忙期は「進める」時期ではなく「落とさない」時期と割り切ることです。繁忙期に新しい論点を大量に詰め込もうとすると消化不良になりやすいため、繁忙期中は既習範囲の維持・反復に軸足を置き、繁忙期が明けてから答練・演習で一気に得点力を伸ばす配分が現実的です。
繁忙期に遅れが出た場合の取り戻し方
- 繁忙期中に消化しきれなかった講義は、繁忙期明けの最初の2〜3週間で一気に追いつく計画をあらかじめ組んでおく
- 暗記が必要な理論科目は、通勤・移動時間などのスキマ時間に音声教材や暗記ツールを使って維持する
- 答練の提出期限がある講座では、繁忙期中は提出を後ろ倒しにしてでも「解く」こと自体は止めない
- 遅れを取り戻す前提で、視聴期限に余裕のある講座(受講期間が長い、質問対応の期限が長いなど)を選ぶ
繁忙期がある人に向いている講座選びの視点
会計事務所勤務者が講座を選ぶ際は、価格や合格実績だけでなく、次のような繁忙期対応の観点も確認しておくと安心です。
| チェック項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 講義の視聴期限 | 繁忙期に遅れても、翌年の本試験まで視聴できるか |
| 1回あたりの講義時間 | 短時間に分割されているか、倍速視聴に対応しているか |
| 質問対応の期限・回数 | 繁忙期明けにまとめて質問しても対応してもらえるか |
| 教材の持ち運びやすさ | デジタル教材やスマホ対応で、移動中にも学習できるか |
具体的な各校の講義時間・質問対応条件は、税理士の予備校・通信講座を比較したこちらの記事でも確認できます。繁忙期の遅れを前提に、視聴期限やフォロー体制が手厚い講座を選ぶことをおすすめします。
よくある質問
Q. 確定申告期は勉強を諦めるべきですか?
完全に止める必要はありませんが、この時期に新しい論点を大きく進めるのは現実的ではない事務所が多いです。理論の音読・暗記など、まとまった時間がなくてもできる学習に切り替え、「進める」より「落とさない」ことを目標にするとよいでしょう。
Q. 繁忙期のある会計事務所勤務者に向いている受講形態は?
決まった時間に通学する形式よりも、視聴期限が長く、スキマ時間に短時間ずつ進められる通信講座の方が、繁忙期の波に対応しやすい傾向があります。あわせて、質問対応の期限が長い講座を選ぶと、繁忙期明けにまとめて疑問を解消しやすくなります。
Q. 繁忙期のせいで受験を諦めたほうがよいか迷っています。
繁忙期があること自体は、税理士試験の受験生の多くが抱える共通の制約です。年間を通じた学習時間の配分を事前に決めておけば、繁忙期があっても合格を目指すことは可能です。焦って一度にすべてを取り戻そうとせず、繁忙期後の期間で計画的に追いつく設計にすることをおすすめします。
繁忙期を前提にした年間スケジュールの作り方
会計事務所勤務者は、毎週同じ勉強時間を確保できないことが多いため、年間の繁忙度を先に3段階へ分けます。学習量を均等にするのではなく、時期ごとに目的を変えると計画倒れを防ぎやすくなります。
| 時期 | 学習の目的 | 具体的なタスク |
|---|---|---|
| 繁忙期前 | 先取りと貯金 | 講義を進め、理論暗記カードと過去問の範囲を作る |
| 繁忙期中 | 知識の維持 | 通勤中の音声、昼休みの一問一答、条文確認を続ける |
| 繁忙期明け | 遅れの回収 | 未視聴講義を整理し、答練・過去問で理解を得点へつなげる |
| 直前期 | 本番対応 | 時間を測った演習、模試の復習、理論の最終確認 |
受験科目を複数にする場合も、繁忙期中にすべてを均等に進めようとしないことが大切です。理論科目は短時間の反復、計算科目は繁忙期明けのまとまった演習というように、科目の性質で役割を分けます。
残業が続く週の最低ラインを決める
忙しい週に通常計画をそのまま当てはめると、未達が積み上がって学習自体を止めやすくなります。あらかじめ「これだけは行う」という最低ラインを決め、達成できたら翌週に通常ペースへ戻します。
| 時間が取れる日 | 学習メニュー | 記録する内容 |
|---|---|---|
| 15分未満 | 理論カード・条文・一問一答 | 触れた範囲と誤答 |
| 30分程度 | 短い講義1本+確認問題 | 理解できなかった論点 |
| 60分以上 | 計算問題または答案構成 | 時間配分と復習箇所 |
| 休日にまとまった時間 | 答練・過去問・一週間分の復習 | 翌週へ繰り越すタスク |
睡眠を削って学習時間を作る方法は、繁忙期を長く乗り切るうえで現実的ではありません。睡眠・食事・通勤を含めた生活リズムを守り、学習の負荷を調整することも合格まで続けるための対策です。
税理士講座を比較するときの確認項目
繁忙期がある人は、次の条件を優先して予備校・通信講座を比較します。料金やキャンペーンは変わるため、申込み前に公式ページで最新情報を確認してください。
- 講義が10〜30分程度に分割され、倍速・スマホ視聴に対応しているか。
- 視聴期限・質問期限・添削期限が、繁忙期をまたいでも余裕を持って設定されているか。
- 科目別・単科で受講でき、今年は1科目に絞るといった調整ができるか。
- 答練や模試の提出日を変更できるか、欠席時のフォロー教材があるか。
試験日程や受験案内は年度によって更新されます。令和8年度の情報を含む最新の公告は、国税庁の税理士試験案内で確認してください。
まとめ
会計事務所勤務者が税理士試験を目指す場合、繁忙期(年末調整・確定申告期など)に学習時間が大きく減ることを前提に、繁忙期前・繁忙期中・直前期で学習内容の役割を分けることが重要です。繁忙期中は「進める」より「維持する」ことを目標にし、繁忙期が明けたタイミングで答練・演習に集中して得点力を引き上げる計画を立てましょう。
講座選びの際は、価格だけでなく視聴期限や質問対応の期限など、繁忙期があっても続けやすい条件を確認することをおすすめします。

