「家事・育児をしながら予備試験の勉強時間を確保できるだろうか」
「主婦から予備試験に挑戦するのは無謀なのでは」
家庭を持ちながら法律の勉強を始めることに、不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、限られた時間で学習を積み重ねるための工夫を中心に、主婦(主夫)の立場から予備試験を目指す際の勉強法のポイントを解説します。
まとまった学習時間が取りにくい人ほど「スキマ時間」の設計が重要
予備試験合格には数千時間規模の学習が必要とされますが、1日にまとめて何時間も取れる人は多くありません。
家事や育児の合間の15〜30分単位の時間をいかに積み重ねるかが、学習を継続できるかどうかの分かれ目になります。「まとまった時間が取れたら勉強する」ではなく「スキマ時間ありきで学習計画を組む」という発想の転換が重要です。
主婦(主夫)が予備試験を目指す際の勉強法のポイント
①インプットは音声・動画講義でスキマ時間に済ませる
家事をしながらでも聞き流せる音声講義や、スマートフォンで視聴できる講義動画は、まとまった机上の時間が取れない人と相性の良い学習手段です。倍速再生機能を使えば、通常より短時間で講義を消化することもできます。
②アウトプット(論文練習)は集中できる時間帯にまとめる
一方、論文式試験の答案作成練習は、ある程度まとまった集中時間が必要です。子どもの就寝後や早朝など、自分だけの時間を確保できる時間帯に、答案作成のようなまとまった作業を配置するとメリハリがつきます。
③学習記録をつけて「積み上げ」を可視化する
1回あたりの学習時間が短いと、「今日は全然勉強できなかった」と感じやすいものです。学習時間や進捗を記録し、週単位・月単位での積み上げを可視化することで、モチベーションを保ちやすくなります。
④家族の理解と協力を得る仕組みを作る
長期戦になりやすい予備試験の学習では、家族の理解が学習継続の土台になります。「この時間は勉強に充てる」という時間を家族内で共有し、協力を得やすい環境を整えることも、遠回りに見えて重要な対策です。
通信講座は家庭と両立しやすい学習手段
通学が難しい家庭環境の場合、スマートフォン・タブレットで完結する通信講座は有力な選択肢です。倍速視聴、スキマ時間対応の一問一答機能など、細切れ時間を前提に設計された教材を活用することで、学習効率を高められます。
1週間の学習スケジュール例
家事・育児と両立する主婦(主夫)受験生の、ある1週間の学習配分イメージは次のとおりです。あくまで一例として、自分の生活リズムに合わせて調整してください。
| 時間帯 | 学習内容 |
|---|---|
| 朝の家事の合間(15分) | 一問一答アプリで短答知識の復習 |
| 日中の家事の合間(30分×2) | 講義動画・音声のインプット |
| 子どもの就寝後(1〜1.5時間) | 論文答案の作成・過去問演習 |
| 週末(家族の協力を得られる時間) | まとめて答案添削の見直し、模試演習 |
学習費用をどう捻出するか
家計を預かる立場から、学習費用の捻出に迷う方も少なくありません。まずは比較的安価な通信講座や単科講座から始め、学習が軌道に乗ってから本格的なカリキュラムに切り替えるという段階的なアプローチも選択肢の一つです。
家計簿と同じように学習費用も年間の予算を決めておくと、「思ったより高くついた」という後悔を防ぎやすくなります。
孤独になりやすい環境での工夫
家庭にいながらの学習は、同じ目標を持つ仲間と接する機会が少なく、孤独を感じやすい環境でもあります。SNSの学習アカウントやオンライン自習室、予備校の受講生コミュニティを活用し、進捗を共有できる相手を見つけておくと、学習のモチベーション維持につながります。
生活環境の変化への備え
引っ越しや子どもの進学など、家庭の状況は数年単位で変化していきます。学習計画を一度立てたら固定するのではなく、半年〜1年ごとに見直す機会を設けることで、状況の変化に柔軟に対応しながら学習を継続しやすくなります。
1日の学習時間と年間の積み上げの目安
「1日に少ししか勉強できない」と感じても、積み重ねれば大きな時間になります。学習する日を週6日、残り1日は休養日として計算すると、次のようになります。
| 1日の学習時間 | 1週間の合計 | 1年間の合計(52週) |
|---|---|---|
| 1時間 | 6時間 | 312時間 |
| 2時間 | 12時間 | 624時間 |
| 3時間 | 18時間 | 936時間 |
| 4時間 | 24時間 | 1,248時間 |
予備試験の合格には数千時間規模の学習が必要とされます。1日2時間の学習を続けた場合、単純計算では年間約600時間強となり、必要時間の確保には複数年の計画が現実的になります。だからこそ、焦らず、長期戦を前提とした計画づくりが重要です。
家庭のステージ別・学習の組み立て方
| ステージ | 学習しやすい時間帯 | 工夫のポイント |
|---|---|---|
| 乳幼児期 | 子どもの昼寝・就寝後 | 音声講義や短い動画でインプット。無理のない範囲で最低ラインを決める |
| 保育園・幼稚園期 | 日中の預かり時間、就寝後 | 日中にまとまった学習を配置しやすい。登園前後の時間も活用する |
| 小学生期 | 子どもの登校中、宿題の時間の隣 | 同じ机で「一緒に勉強する」時間をつくる方法もある |
| 中高生期 | 日中、子どもの部活・塾の時間帯 | 比較的まとまった時間を確保しやすい。論文答案の練習に充てる |
| 子育てがひと段落した時期 | 日中を中心に安定して確保 | 学習量を増やしやすい。生活リズムを固定して継続する |
家族に協力をお願いするときの伝え方
- 目的を伝える:なぜ挑戦したいのか、将来どうなりたいのかを、具体的に話します。
- 期間の見通しを共有する:「○年後に試験を受ける」「その間は週に○時間勉強する」と、区切りを示します。
- 協力してほしいことを具体的に伝える:家事の分担、日曜の午前の学習時間の確保など、明確に依頼します。
- 感謝を言葉にする:協力に感謝を伝え、家族との時間も大切にする姿勢を示します。
- 定期的に見直す:状況が変わったら話し合い、負担が偏らないよう調整します。
予定通りに進まない日への備え
子どもの急な発熱や、家族の予定変更など、家庭では予定通りにいかない日が必ずあります。あらかじめ、次のような備えをしておくと、精神的な負担を減らせます。
- 1週間のうち1日は「予備日」として、遅れを取り戻す日にする
- 最低ラインの学習(条文を1つ読む、一問一答を5問解くなど)を決めておく
- 遅れが出ても自分を責めず、翌週の計画を調整する
- 学習計画は、余裕を持って「8割達成できれば十分」という設定にする
試験を受ける際に早めに準備したいこと
| 準備事項 | ポイント |
|---|---|
| 試験日程の確認 | 法務省の最新の公表資料で日程を確認し、家族と共有する |
| 子どもの預け先の確保 | 試験当日の預け先や見守りを、余裕をもって手配する |
| 試験会場へのアクセス | 会場が自宅から遠い場合、前泊や移動手段を検討する |
| 体調管理 | 試験前は家族の健康管理にも気を配り、感染症などの対策を心がける |
よくある質問
Q. 子どもが小さいうちは学習を始めない方がよいですか?
お子さんの年齢やご家庭の状況によって最適なタイミングは異なりますが、「余裕ができてから」を待ち続けると学習開始が大きく遅れてしまうこともあります。まずは1日15分からでもインプットを始め、状況に応じてペースを調整していく方法もあります。
Q. 通信講座と通学講座、主婦にはどちらが向いていますか?
家事・育児で外出の時間を確保しにくい場合は、自宅で完結する通信講座の方が続けやすい傾向があります。一方、決まった時間に外出することでメリハリをつけたい方には、通学講座やオンライン自習室の活用も選択肢になります。
Q. 学習と家事、両立できずに挫折しそうなときはどうすればよいですか?
完璧を目指さず、「今週はここまでできればOK」という最低ラインを決めておくことをおすすめします。学習量が一時的に減っても、完全にゼロにしないことが、長期的な継続につながります。
Q. 法律の学習経験がなくても、スキマ時間だけで始められますか?
始めることはできます。最初は、入門講義を短い単位で視聴するところから始め、慣れてきたら問題演習を加えていくのが一般的です。ただし、論文式試験の対策には、まとまった時間での答案作成が必要になる時期が来ます。その時期に向けて、家族の理解や、時間帯の確保を少しずつ進めておきましょう。
Q. 学習と並行して、資格取得後の働き方も考えておくべきですか?
必須ではありませんが、大まかな将来像があると、学習のモチベーションを維持しやすくなります。弁護士としての働き方は、事務所勤務、企業内、独立など様々です。司法試験や修習の期間中は、学業に専念する期間が必要になるため、家族とも早めに話し合っておくと安心です。
挑戦を続けるための小さな習慣
- 学習開始の合図(お茶を淹れる、決まった音楽をかける)を決めて、気持ちを切り替える
- 週に一度、その週の達成度を家族や仲間に報告する
- できたことを記録する「できたことノート」をつける
- 月に一度は、学習を休んで自分を労う日を設ける
まとめ
主婦(主夫)から予備試験を目指す場合、まとまった学習時間の確保が難しいことは事実ですが、それ自体が合格を阻む決定的な要因になるわけではありません。
スキマ時間でのインプットと、集中できる時間帯でのアウトプットを組み合わせ、家族の協力も得ながら、無理のないペースで学習を積み重ねていくことが合格への近道です。

