「予備試験ルートで司法試験に合格する人って、実際どれくらいいるの?」
「法科大学院ルートと比べて、予備試験ルートは本当に有利なの?」
予備試験ルートを検討している方であれば、一度は気になったことがあるのではないでしょうか。
この記事では、法務省の最新発表データをもとに、司法試験合格者に占める予備試験ルート出身者の割合と、その背景を解説します。
司法試験合格者に占める予備試験ルートの割合
令和7年司法試験の合格者1,581人のうち、予備試験ルート出身者は428人(全体の約27.1%)でした。
- 予備試験合格者ルート:428人(約27.1%)
- 法科大学院課程修了者ルート:441人(約27.9%)
- 法科大学院在学中受験ルート:712人(約45.0%)
受験者数(母数)で見ると予備試験ルートは他の2ルートよりかなり少数派ですが、合格者数では全体の4分の1超を占めており、1人あたりの合格率の高さがうかがえます。
なぜ予備試験ルートは合格率が高いといわれるのか
予備試験そのものの最終合格率は、令和7年で出願者数15,764人に対して最終合格者452人(約2.9%)という非常に狭き門です。
つまり、予備試験ルートで司法試験に臨む受験生は、すでに極めて高い競争を勝ち抜いた層に絞られています。母集団の学力レベルが高いからこそ、司法試験での合格率も高くなりやすいと考えられます。
法科大学院ルートは修了までに2〜3年の課程を要するのに対し、予備試験ルートは年齢・学歴を問わず誰でも挑戦できる一方で、入り口の選抜が非常に厳しいという対照的な構造になっています。
予備試験合格者の年齢・属性データ
令和7年の予備試験最終合格者452人の内訳を見ると、次のような傾向があります。
- 年齢別では20〜24歳が268人と最多
- 職業別では「大学在学中」が264人と最多
- 次いで「大学卒業」が118人
- 「法科大学院修了」は16人にとどまる
予備試験合格者の多くが大学在学中の学生である点は、近年の大きな特徴です。法科大学院に進学するより前の段階で、予備試験ルートを選ぶ学生が増えていることを示しています。
予備試験ルートの割合は3年でどう変化したか
直近3年間で、司法試験合格者に占める予備試験ルート出身者の割合を並べると、次のようになります。
| 年度 | 予備試験ルート合格者数 | 合格者全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 令和5年 | 327人 | 約18.4% |
| 令和6年 | 441人 | 約27.7% |
| 令和7年 | 428人 | 約27.1% |

令和5年から令和6年にかけて、予備試験ルートの割合は18.4%から27.7%へと大きく上昇し、その後は27%台で高水準を維持しています。法科大学院を経由しない「最短ルート」への注目度が、この数年で着実に高まっていることがうかがえます。
法科大学院ルートとの根本的な違い
予備試験ルートと法科大学院ルートは、単に「試験の種類が違う」だけでなく、キャリア形成の構造自体が異なります。
| 予備試験ルート | 法科大学院ルート | |
|---|---|---|
| 受験資格 | 制限なし | 法科大学院修了(見込み)または在学中 |
| 費用 | 予備校費用のみ(法科大学院の学費不要) | 法科大学院の学費(年間100万円前後が目安) |
| 期間の柔軟性 | 自分のペースで学習可能 | 2〜3年の課程に沿って進む |
| 選抜の厳しさ | 入り口(予備試験)が極めて狭き門 | 法科大学院入試は比較的通過しやすい |
予備試験ルートは「費用を抑えられる代わりに、入り口の競争が非常に激しい」ルートである一方、法科大学院ルートは「学費はかかるが、体系的なカリキュラムに沿って進める」ルートといえます。どちらが良いかは一概には言えず、経済状況や学習スタイルによって最適な選択は変わってきます。
「弁護士になる」までにはまだ段階がある
なお、司法試験に合格しても、それだけで弁護士になれるわけではありません。合格後は司法修習(約1年間)を修了し、修習の最終試験である司法修習生考試(通称:二回試験)に合格して初めて、弁護士として登録できます。
司法修習からの脱落・留年は例年ごく少数にとどまるため、司法試験合格者の大多数は最終的に法曹資格を得ています。その意味で、司法試験合格者に占める割合は、将来の弁護士における出身ルート割合のおおよその目安と捉えることができます。
合格率の推移について、あわせて知っておきたいこと
司法試験全体の合格率や、3ルートすべての詳しい年次推移については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
予備試験合格者の構成を割合で読み直す
前半で紹介した令和7年の予備試験最終合格者452人の内訳を、割合に直して整理すると、どの層が中心なのかがいっそう分かりやすくなります。割合は、各人数を452人で割って算出した数値です。
| 区分 | 人数 | 割合(452人に対して) |
|---|---|---|
| 職業別:大学在学中 | 264人 | 約58.4% |
| 職業別:大学卒業 | 118人 | 約26.1% |
| 職業別:法科大学院修了 | 16人 | 約3.5% |
| 職業別:上記以外(差引) | 54人 | 約11.9% |
| 年齢別:20〜24歳 | 268人 | 約59.3% |

大学在学中の合格者が全体の6割近くを占めており、学生のうちに予備試験へ挑戦して合格する層が中心になっていることが読み取れます。一方で、大学卒業後や社会人として挑戦する層も一定数含まれており、年齢や経歴を問わない試験であることが数字にも表れています。
3年間の数字の動きを読む
前掲の表(令和5年〜令和7年)から、増減を計算すると次のようになります。
| 比較 | 予備試験ルート合格者数 | 増減 | 割合の動き |
|---|---|---|---|
| 令和5年→令和6年 | 327人→441人 | +114人(約+34.9%) | 約18.4%→約27.7% |
| 令和6年→令和7年 | 441人→428人 | −13人(約−2.9%) | 約27.7%→約27.1% |
令和5年から令和6年にかけて合格者数が大きく増え、令和7年はわずかに減少したものの高い水準を保っています。割合が27%前後で推移していることから、予備試験ルートは合格者の約4分の1を占める存在として定着しつつあるといえます。ただし、これは3年分のデータからの読み取りであり、今後も同じ傾向が続くとは限りません。
予備試験から弁護士になるまでの流れ
| 段階 | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 予備試験 | 短答式・論文式・口述式に合格して最終合格。受験資格に制限はない | 法務省の予備試験ページ |
| 司法試験 | 予備試験合格者は受験資格を得て司法試験を受験。受験できる期間・回数には上限がある | 法務省の司法試験ページ |
| 司法修習 | 司法試験合格後、約1年の修習を受ける | 最高裁判所などの公表資料 |
| 司法修習生考試 | 修習の最終試験(二回試験) | 同上 |
| 弁護士登録 | 弁護士会への登録を経て弁護士として活動 | 日本弁護士連合会・各弁護士会 |
状況別・ルートを選ぶときの考え方
| 状況 | 予備試験ルートが向くケース | 法科大学院ルートが向くケース |
|---|---|---|
| 大学生 | 早い段階から法律を学び、在学中に挑戦したい | 学部での学びに加え、体系的なカリキュラムで学びたい |
| 社会人 | 費用を抑えつつ、自分のペースで学習を続けたい | 仕事を離れて学習に専念できる環境を整えられる |
| 学習経験者 | 基礎ができており、試験形式への対応力を高めたい | 大学院の授業やゼミで議論しながら理解を深めたい |
| 費用面 | 法科大学院の学費を避けたい | 奨学金や授業料の免除制度などを活用できる |
ルートの選択は、合格のしやすさだけで決めるものではありません。学習に使える時間、費用、生活環境、将来の目標を総合的に考えることが大切です。なお、法科大学院には在学中に司法試験を受けられる制度もあります。制度の詳細は、法務省や各法科大学院の公表資料で確認してください。
よくある質問
Q. 予備試験ルートは法科大学院ルートより「格上」なのですか?
司法試験合格後の弁護士資格そのものに、出身ルートによる差はありません。予備試験ルートが「難関を突破した証」として一定の評価をされる場面はありますが、就職活動や実務においては、出身ルートよりも実務能力や人物面が重視されるのが実情です。
Q. 予備試験と法科大学院、両方に挑戦することはできますか?
可能です。実際に、法科大学院に在籍しながら予備試験にも挑戦し、先に予備試験に合格すればそちらのルートで司法試験を受験する、といった併願戦略を取る人もいます。ただし、両方の対策を同時に進める負担は大きいため、計画的なスケジュール管理が必要です。
Q. 予備試験ルートの割合は今後も増え続けますか?
直近3年は上昇傾向にありますが、今後も同じペースで増え続けるとは限りません。法科大学院の在学中受験資格制度の定着状況など、複数の要因が影響するため、最新の法務省発表データで都度確認することをおすすめします。
割合の数字を進路選びに使う方法
予備試験ルートの割合は、司法試験合格者全体に占める人数の比率です。予備試験ルートの合格率そのものではないため、分母が受験者なのか合格者なのかを必ず確認しましょう。割合が高いから簡単、低いから不利と判断せず、必要な受験資格と学習期間を自分の状況に照らして考えることが大切です。
| 確認項目 | 見るべき数字 | 判断への活用 |
|---|---|---|
| 合格者の構成 | 予備試験・法科大学院別の人数 | 合格者層の変化を把握 |
| 受験者の母数 | 各ルートの受験者数 | 合格率を正しく比較 |
| 準備コスト | 受験資格までの期間・費用 | 働きながらの現実性を検討 |
年度別の受験者数や合格者数は法務省の司法試験・予備試験ページで確認できます。集計方法が変わる場合もあるため、記事やSNSの数字だけでなく、原資料の表題と注記まで確認してください。
まとめ
令和7年司法試験の合格者のうち、予備試験ルート出身者は約27.1%を占めています。予備試験自体の合格率が約2.9%という狭き門であることを踏まえると、予備試験ルートは「入り口は厳しいが、通過すれば司法試験合格に近い」ルートといえるでしょう。
法科大学院ルートか予備試験ルートかは、学習期間・費用・ライフスタイルなど個々の状況によって最適解が異なります。最新のデータを踏まえたうえで、自分に合ったルートを検討しましょう。

