宅建試験の「税・その他」分野のうち、税金の問題は例年2問出題されます。範囲が広そうに見えますが、出るポイントはほぼ決まっており、数字と「誰が・いつ納めるか」を押さえれば確実に得点できる分野です。この記事では、税理士の目線で宅建試験に出る不動産の税金を整理します。
令和8年度の宅建試験は2026年10月18日(日)13時〜15時、合格発表は11月25日(水)です(不動産適正取引推進機構の発表)。
宅建試験の出題構成と「税金」の位置づけ

全50問のうち「税・その他」は8問です。そのうち税金が2問、土地・建物の価格の評定(地価公示法・不動産鑑定評価基準)が1問、残り5問は登録講習修了者が免除される科目(住宅金融支援機構・景品表示法・統計・土地・建物)です。例年、地方税(不動産取得税または固定資産税)から1問、国税(所得税・登録免許税・印紙税・贈与税)から1問という組み合わせが多く出題されます。

税理士のひとこと:実務で相談を受けるときも、税金は「買うとき・持っているとき・売るとき」の3つの場面で考えます。試験勉強でも、この時系列で整理すると頭に入りやすくなります。
不動産取得税(買うとき・地方税)
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 課税する人 | 不動産がある都道府県 |
| 納める人 | 不動産を取得した人(売買・贈与・新築など。有償か無償か、登記の有無は問わない) |
| かからない取得 | 相続・法人の合併などによる取得(形式的な移転) |
| 課税標準 | 固定資産課税台帳の価格(固定資産税評価額)。宅地は特例で2分の1 |
| 税率 | 標準税率4%。土地・住宅は特例で3% |
| 免税点 | 土地10万円未満/家屋は建築による取得23万円未満、売買などその他12万円未満 |
| 新築住宅の特例 | 床面積50㎡以上240㎡以下なら課税標準から1,200万円を控除 |
「相続ではかからないが、贈与ではかかる」は定番のひっかけです。また免税点は「未満」である点、家屋の免税点が取得方法で異なる点も押さえておきましょう。
固定資産税・都市計画税(持っているとき・地方税)
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 課税する人 | 市町村(東京23区は都) |
| 納める人 | 1月1日(賦課期日)現在、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人 |
| 課税標準 | 固定資産課税台帳の価格(原則3年ごとに評価替え) |
| 税率 | 標準税率1.4% |
| 免税点 | 土地30万円未満/家屋20万円未満 |
| 住宅用地の特例 | 200㎡以下の部分は課税標準が6分の1、200㎡を超える部分は3分の1 |
| 新築住宅の減額 | 一定の新築住宅は一定期間、120㎡までの部分の税額が2分の1 |
| 都市計画税 | 市街化区域内の土地・家屋に課税。制限税率0.3% |
税理士のひとこと:不動産の売買契約では、固定資産税を引渡日で日割りして買主が売主に支払う「精算」が慣行になっています。ただし法律上の納税義務者は、あくまで1月1日時点の所有者です。試験では「年の途中で売却したら、売主と買主が月割りで納める」といった誤りの選択肢に注意しましょう。
登録免許税(買うとき・国税)
| 登記の種類 | 本則の税率 | 住宅用家屋の軽減税率 |
|---|---|---|
| 所有権の保存(新築) | 0.4% | 0.15% |
| 所有権の移転(売買) | 2% | 0.3%(土地の売買は1.5%) |
| 所有権の移転(相続) | 0.4% | ― |
| 抵当権の設定 | 0.4% | 0.1% |
課税標準は、原則として固定資産課税台帳の価格です。住宅用家屋の軽減は「個人」「自己の居住用」「50㎡以上」「1年以内の登記」といった要件がよく問われます。
印紙税(契約書をつくるとき・国税)
- 課税される主な文書:不動産の売買契約書、土地の賃貸借契約書(地上権・土地の賃借権の設定)、建設工事の請負契約書、金銭消費貸借契約書、5万円以上の受取書など
- 課税されない文書:建物の賃貸借契約書(課税文書に当たらない)
- 契約金額の記載がない契約書:200円
- 国・地方公共団体と個人が共同で作成:個人が保存するものは非課税、国等が保存するものは課税
- 貼り忘れ:過怠税は本来の税額とその2倍の合計(3倍)。自ら申し出た場合は1.1倍
税理士のひとこと:「建物の賃貸借は非課税、土地の賃貸借は課税」は実務でも間違えやすいポイントです。契約書の種類と金額の記載方法(交換・変更契約など)をセットで覚えましょう。

譲渡所得の特例(売るとき・国税)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超。所得税15%(復興特別所得税を含め15.315%)+住民税5% |
| 短期譲渡所得 | 所有期間5年以下。所得税30%(30.63%)+住民税9% |
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 所有期間を問わず適用可。配偶者・直系血族など特別な関係者への譲渡は不可。前年・前々年に適用を受けていないこと |
| 居住用財産の軽減税率 | 所有期間10年超なら、6,000万円以下の部分は所得税10%+住民税4%。3,000万円控除と併用できる |
| 買換え特例 | 一定の要件で課税を繰り延べ。3,000万円控除とは選択適用 |
所有期間は「売った日」ではなく「売った年の1月1日」で判定する点が最重要です。3,000万円控除と軽減税率は併用できるが、買換え特例とは併用できない、という組み合わせも頻出です。
税理士のひとこと:自宅を売ったときの3,000万円控除は、実際の確定申告でも利用が多い特例です。適用を受けるには確定申告が必要で、「税金がゼロになるから申告しなくてよい」わけではありません。
贈与税の特例(買うとき・国税)
父母や祖父母から住宅取得のための資金をもらったときの「住宅取得等資金の贈与税の非課税」、60歳以上の親・祖父母からの贈与で使える「相続時精算課税(特別控除2,500万円)」が出題の中心です。非課税の限度額や適用期限は税制改正で見直されることが多いため、受験年度の最新テキストで確認してください。
この記事の税率・特例は、宅建試験の学習で押さえるべき主なものをまとめたものです。軽減税率や非課税の特例には適用期限があり、税制改正で延長・変更されることがあります。本試験は、その年の4月1日時点で施行されている法令に基づいて出題されます。
宅建試験の合格点の推移

合格点は33点〜38点の間で推移しており、令和7年度は33点でした。税金の2問は、覚えた量がそのまま点数になる分野です。直前期に数字を見直して、確実な得点源にしましょう。合格点の詳しい分析は 宅建試験の合格点は高すぎ?過去の推移と勉強法 もご覧ください。
直前期の税金対策におすすめの講座
独学で税金分野が不安な方は、直前対策講座や模試を活用するのが近道です。各校の費用・特徴は 宅建士の予備校・通信講座おすすめランキング で比較しています。
出典:不動産適正取引推進機構「令和8年度宅建試験のスケジュール」「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」(2026年9月29日確認)

税理士 野村 真一(野村真一税理士事務所 代表)
税理士業界23年。freee認定アドバイザー。日本税理士会連合会・九州北部税理士会所属、認定経営革新等支援機関。中小企業の記帳・月次決算・申告・経営助言を行うかたわら、試験制度や資格の実務的な内容を中心に当サイトの記事を監修しています。 プロフィール・監修方針

