「司法試験の合格率は上がっているの?下がっているの?」
「予備試験ルートと法科大学院ルート、どちらが受かりやすいのか知りたい」
司法試験への挑戦を検討する際、最新の合格率動向は気になるポイントです。
この記事では、法務省発表の直近3年分のデータをもとに、司法試験の合格率推移と、受験資格ルート別の合格者数の内訳を詳しく解説します。
司法試験の合格率推移【直近3年】
法務省が発表した直近3年間の司法試験の結果は、次のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和5年 | 3,928人 | 1,781人 | 約45.3% |
| 令和6年 | 3,779人 | 1,592人 | 約42.1% |
| 令和7年 | 3,837人 | 1,581人 | 約41.2% |

3年間の推移を見ると、合格率は45.3%→42.1%→41.2%と、緩やかな低下傾向にあります。合格者数自体も1,781人→1,592人→1,581人と減少しており、司法試験を取り巻く環境がやや厳しくなりつつあることがうかがえます。
とはいえ、合格率40%台という水準は他の難関国家資格と比べても高い部類に入ります。これは、司法試験の受験資格自体が予備試験合格者・法科大学院修了(見込み)者に限定されているため、母集団のレベルが高く保たれていることが背景にあります。
受験資格ルート別の合格者数の推移【直近3年】
司法試験の合格者を、受験資格ルート別(予備試験合格者ルート/法科大学院課程修了者ルート/法科大学院在学中受験ルート)に分けて3年分並べると、非常に興味深い変化が見えてきます。
| 年度 | 予備試験ルート | 法科大学院修了ルート | 在学中受験ルート | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年 | 327人(18.4%) | 817人(45.9%) | 637人(35.8%) | 1,781人 |
| 令和6年 | 441人(27.7%) | 471人(29.6%) | 680人(42.7%) | 1,592人 |
| 令和7年 | 428人(27.1%) | 441人(27.9%) | 712人(45.0%) | 1,581人 |

このデータから、3年間でルート間のパワーバランスが大きく変化していることが分かります。
- 法科大学院課程修了者ルート:45.9%→29.6%→27.9%と、3年でシェアを大きく落としている
- 法科大学院在学中受験ルート:35.8%→42.7%→45.0%と、着実にシェアを拡大し、今や最大勢力に
- 予備試験合格者ルート:18.4%→27.7%→27.1%と、大きくシェアを伸ばした後、高水準で安定
令和2年の法改正で導入された「法科大学院在学中受験資格」が本格的に定着し、「法科大学院を修了してから受験する」という従来の主流ルートが、「在学中に受験する」ルートに置き換わりつつあることが、このデータから鮮明に読み取れます。
同時に、予備試験ルートも令和5年から令和6年にかけてシェアを大きく伸ばしており、法科大学院を経由しない「最短ルート」への注目度の高まりがうかがえます。
なぜ法科大学院「修了」ルートは減少しているのか
在学中受験資格制度により、学生は法科大学院を修了する前(在学中)に司法試験を受験できるようになりました。優秀な学生ほど在学中に合格し、修了を待たずに司法試験合格を果たすケースが増えたことで、相対的に「修了後に受験する」層が減少していると考えられます。
つまり、法科大学院ルート自体が縮小しているというよりも、法科大学院ルートの中で「在学中」と「修了後」の内訳が大きくシフトしていると捉えるのが実態に近いでしょう。
司法試験合格率が高水準を維持している理由
かつての旧司法試験は合格率数%という「超難関試験」でしたが、現行制度移行後は受験資格を得るまでの選抜(予備試験合格または法科大学院修了・在学)が実質的なフィルターとなっているため、司法試験自体の合格率は相対的に高くなっています。
つまり、「司法試験の合格率が高い=試験が簡単になった」というよりも、受験資格を得る段階までのハードルが高いという制度設計の結果と捉えるのが実態に近いといえます。
予備試験ルートの合格率の高さについて
受験者数(母数)で見ると、予備試験ルートは他の2ルートよりかなり少数派です。予備試験自体の最終合格率は令和7年で約2.9%(出願者数比)という狭き門であり、予備試験ルートで司法試験に臨む受験生は、すでに極めて高い競争を勝ち抜いた層に絞られています。この点については、以下の記事で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 司法試験の合格率は今後も下がり続けますか?
直近3年は緩やかな低下傾向にありますが、これが今後も継続するかは断定できません。受験資格制度の変化(在学中受験の定着)や、受験者数全体の増減など複数の要因が絡むため、最新の発表データを都度確認することが重要です。
Q. 法科大学院に進学する意味は薄れているのでしょうか?
「修了後に受験する」割合は減少していますが、「在学中受験」も法科大学院に在籍していることが前提のルートです。法科大学院という教育課程自体の重要性が下がっているわけではなく、受験のタイミングが「修了後」から「在学中」にシフトしていると理解するのが正確です。
Q. 3つのルートで司法試験の問題自体は変わりますか?
いいえ、受験資格のルートが異なっても、司法試験本試験で課される問題(短答式・論文式)は全受験生共通です。ルートの違いは受験資格の取得方法の違いであり、試験内容そのものに差はありません。
ルート別に見る司法試験の受験戦略
合格率だけで進路を決めると、受験資格を得るまでの期間や費用を見落としがちです。予備試験ルートは最終合格すれば法科大学院を経由せず司法試験に進める一方、短答・論文・口述をすべて突破する必要があります。法科大学院ルートは教育課程と仲間を活用しやすく、在学中受験制度によって早期受験も可能です。
| ルート | 受験資格 | 向いている人 | 主な準備 |
|---|---|---|---|
| 予備試験 | 予備試験の最終合格 | 独学・講座で総合力を伸ばせる人 | 短答、論文、口述、法律実務基礎 |
| 法科大学院(在学中) | 所定課程の在学と要件 | 体系的な授業と学修環境を求める人 | 授業、司法試験過去問、短答演習 |
| 法科大学院(修了後) | 修了後の受験資格期間内 | 修了後に集中して受験したい人 | 答案練習、弱点補強、受験計画 |
合格率の数字を比較するときの注意点
司法試験の合格率は「受験者数に対する合格者数」です。出願者数、受験予定者数、実際の受験者数を分母にした数字を混同しないようにしましょう。ルート別の人数構成も年ごとに変わるため、単年の率だけで優劣を決めず、過去3〜5年の推移と受験者層を一緒に確認することが大切です。
一次情報の確認先:法務省の司法試験・予備試験ページで、年度別の受験者数、合格者数、合格率、試験日程を確認できます。ニュース記事の要約は、必ず原資料と照合してください。
合格率を学習計画に落とし込む方法
- ルートを決める:受験資格を得るまでの時間、費用、学習環境を表にして比較します。
- 直近過去問を確認する:短答と論文の出題分野を見て、必要な演習量を見積もります。
- 週次の答案添削を置く:知識のインプットだけでなく、答案の構成・時間配分を第三者に確認してもらいます。
- 月次で指標を記録する:正答率、答案の文字数、復習完了率を記録し、計画を修正します。
まとめ
令和7年司法試験の合格率は約41.2%で、直近3年は緩やかな低下傾向にあります。受験資格ルート別では、法科大学院在学中受験ルートが3年間でシェアを大きく伸ばし、全体の45%を占める最大勢力となった一方、法科大学院修了後に受験する従来型のルートは大きく縮小しました。予備試験ルートも着実にシェアを伸ばしています。
この背景には、令和2年の法改正で導入された在学中受験資格制度の本格的な定着があります。最新の合格率データは法務省が毎年公表しているため、進路選択の際は必ず最新の一次情報を確認するようにしましょう。

