高卒から税理士になることは可能です。しかし、その道のりは決して容易ではありません。
この記事では、高卒者が税理士を目指すための具体的なステップとそのメリット、デメリットを解説します。
高卒でも税理士になるのは無理?努力次第では十分可能

高卒税理士の現状
税理士は高度な専門知識と実務経験を必要とする職業であり、大学卒業者が就くケースが多いです。
しかし、近年では高卒者でも税理士資格を取得し、活躍するケースが増加しています。
これは社会のニーズが多様化し、専門知識を持つ人材の需要が高まっていること、高卒者でも努力次第で税理士資格を取得できる環境が整ってきたことなどが要因として挙げられます。
学歴による受験資格の差異
税理士になるためには、税理士試験に合格する必要があります。
税理士試験は科目数が多く難易度が高いことで知られており、合格率も決して高くありません。しかし、学歴によって受験資格に違いがあるわけではありません。
高卒者でも税理士試験の受験資格を得ることが可能です。
ただし、受験資格を得るためには、一定の条件を満たす必要があります。具体的に言えば、高卒の場合は以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
日商簿記検定1級合格者
日本商工会議所主催の簿記検定1級に合格した人。
全経簿記検定上級合格者
全国経理教育協会主催の簿記能力検定上級に合格した人。
会計事務所で2年以上勤務
会計事務所での実務経験が2年以上ある人。
金融機関等で2年以上勤務
銀行・信託会社・保険会社などで資金の貸付けや運用に関する事務に2年以上従事した人。
経理・税理士補助で2年以上勤務
経理事務や税理士業務の補助事務に2年以上従事した人。
高卒者は大学卒業者と違い、資格または職歴(実務経験)で受験資格を得ることが一般的です。特に、実務経験は税理士試験の勉強にも役立つため、積極的に活用することをおすすめします。
また、大学に入り直して「学識による受験資格」を満たすのも選択肢のひとつです。
高卒が税理士になるための方法

受験資格を得る具体的な手順
まず知っておきたいのは、令和5年度(2023年度)の制度改正により、簿記論・財務諸表論(会計科目)は学歴や資格に関係なく誰でも受験できるようになったことです。つまり高卒者でも、この2科目はすぐにチャレンジできます。一方、所得税法・法人税法など9科目の税法科目には引き続き受験資格が必要で、高卒者が満たしやすい代表的なルートは次のとおりです。
| ルート | 内容 |
|---|---|
| 日商簿記1級または全経簿記上級に合格する | 学歴を問わず取得可能な資格を経由するルート |
| 会計に関する事務に通算2年以上従事する | 税理士事務所・会計事務所・企業の経理部門などでの実務経験 |
| 大学・短大等で法律学・経済学の単位を取得して卒業する | 進学を選ぶ場合の一般的なルート |
高卒者が税理士試験の受験資格を得る際、職歴により受験資格を満たすのが一般的です。そのためには、まず実務経験を積む必要があります。
実務経験は税理士事務所や会計事務所などで、税理士業務に携わることで積むことができます。税理士事務所や会計事務所では税務申告書の作成、会計ソフトの入力、顧客対応など、様々な業務を行います。
これらの業務を通して、税理士業務の基礎知識を学ぶことができます。税理士事務所での働き方は大きく次の2つがあります。
就職する
税理士事務所や会計事務所に正社員として就職し、実務経験を積む。
アルバイトをする
税理士事務所や会計事務所でアルバイトとして働き、実務に触れる。
正社員として勤務する場合は安定した収入を得ることができます。さらに、税理士業務に専念することができるため、効率的に実務経験を積むことができます。
一方、アルバイトの場合は短時間勤務や週休制など、自分の都合に合わせて働くことができます。ただし、収入は少なく、業務内容も限定される場合があるため注意が必要です。
また、実務経験を積む際には、税理士業務に関する知識を深めるために積極的に質問をするようにしましょう。そのほか、税理士試験の過去問を解いたり、税理士関連の書籍を読んだりして試験対策することも重要です。
独学と学校を利用する方法
税理士試験の勉強方法は、大きく分けて2つあります。
独学で勉強する
市販の教材や過去問を使い、自分のペースで学習を進める方法。費用を抑えられる。
予備校・通信講座に通う
体系的なカリキュラムと講師のサポートを受けながら学習を進める方法。
独学で勉強する場合は、自分のペースで勉強を進めることができ、費用を抑えられるのがメリットです。
しかし、独学ではモチベーションを維持するのが難しかったり、学習内容が偏ったりするのがデメリットです。
一方、予備校や通信口座を利用する場合は、講師から体系的な指導を受けられます。特に、予備校であれば他の受験生と交流することで、モチベーションを維持することにもつながります。
ただし、予備校や通信講座の利用は独学と比べて費用がかかります。
独学で勉強する場合、予備校・通信口座を利用する場合のそれぞれの注意点は次のとおりです。
【独学の場合】
学習計画を立て、着実に実行する
無理のない計画を立て、日々コツコツ実行する。
教材選びを慎重に行う
自分のレベルや目標に合った教材を見極めて選ぶ。
定期的に復習する
学んだ内容を定期的に振り返り、知識を定着させる。
【予備校・通信講座の場合】
自分に合った学校を選ぶ
カリキュラムや講師との相性を見て、自分に合った予備校を選ぶ。
授業内容を理解し、積極的に質問する
わからない点をそのままにせず、積極的に質問して理解を深める。
他の受験生と交流する
周囲の受験生と情報交換し、モチベーションを保つ。
費用に見合った活用を意識する
受講料に見合うよう、教材やサポートを積極的に活用する。
どちらの方法を選ぶにしても、自分に合った方法で計画的に勉強を進めることが重要です。
また、自分に合った予備校・通信講座の選び方について、次の記事で詳しく解説しているのでぜひあわせてご覧ください。
税理士として働くメリットとデメリット

高卒者の税理士としてのメリット
高卒で税理士になることのメリットは、以下の点が挙げられます。
専門性の高い仕事に就ける
税務の専門家として、高度な知識を活かした仕事に携われる。
安定した収入を得られる
専門資格として社会的需要が安定しており、収入面でも安定を見込める。
社会貢献性の高い仕事ができる
企業や個人の税務を支え、社会に貢献できる仕事に携われる。
自分のスキルアップにつながる
税務・会計の知識やスキルを深め、キャリアアップにつなげられる。
税理士は企業や個人の財務に関する専門知識を必要とするため、高度な専門性を身につけられます。また、企業や個人の経営を支える重要な役割を担っているため、安定した収入を得られるのがメリットです。
さらに、社会貢献性の高い仕事であり自分のスキルを活かして社会に貢献できるほか、税理士として働くことで、税務に関する知識やスキルを深め、自分のキャリアアップにつなげられます。
税理士になることのデメリット
税理士資格を取得することのデメリットは、以下の点が挙げられます。
試験の難易度が高い
合格までに長期間の学習と高い理解力が求められる。
勉強時間がかかる
科目数が多く、合格までにまとまった学習時間が必要になる。
責任が重い
顧客の財務に関する重要な情報を扱うため、大きな責任が伴う。
顧客とのコミュニケーションが重要
信頼関係を築くための高いコミュニケーション能力が求められる。
税理士試験は難易度が高く、合格率も低いため多くの時間と努力が必要です。業務においては顧客の財務に関する重要な情報を扱うため、強く責任が求められることは理解しておかなければなりません。
さらに、顧客とのコミュニケーションを円滑に行う必要があり、高いコミュニケーション能力も求められます。
これらのデメリットを克服するために、以下の方法があります。
計画的に勉強を進める
無理のないスケジュールを立て、着実に学習を積み重ねる。
モチベーションを維持する
目標を明確にし、学習仲間との交流などでやる気を保つ。
顧客との信頼関係を築く
丁寧なコミュニケーションを重ね、信頼関係を築いていく。
常に最新の情報を収集する
税制改正など最新情報を継続的にキャッチアップする。
税理士資格を取得することは、決して容易ではありません。しかし、努力次第で、高卒者でも税理士試験に合格し税理士として活躍することは十分可能です。
税理士試験に合格するコツ

効率的な勉強法
税理士試験は科目数が多く難易度が高い試験です。そのため、効率的に勉強するのが合格において重要になります。
効率的な勉強法としては、以下の方法が挙げられます。
過去問を繰り返し解く
出題傾向をつかみ、頻出論点を確実に得点できるようにする。
苦手科目を克服する
苦手を後回しにせず、早めに原因を特定して対策する。
アウトプット中心の学習
インプットだけでなく、問題演習を通じて知識を定着させる。
学習時間を確保する
日々のスケジュールの中に、学習時間をあらかじめ組み込んでおく。
休憩を取りながら集中力を維持する
適度に休憩を挟み、集中力を保ちながら学習を続ける。
過去問を繰り返し解くことで、試験の傾向を掴むことができます。また、苦手科目を克服することで全体的な得点アップにもつながります。
アウトプット中心の学習は理解度を高める効果があります。学習時間を確保し、休憩を取りながら集中力を維持することで、効率的に学習を進めることが可能です。
モチベーション維持の方法
税理士試験は、長期間にわたる勉強が必要になるため、モチベーションを維持することが重要になります。モチベーションを維持するためのポイントは次のとおりです。
目標を明確にする
合格後の姿を具体的にイメージし、学習の目的を見失わないようにする。
定期的に成果を確認する
模試や過去問の結果で、自分の成長を定期的に確認する。
学習仲間を作る
同じ目標を持つ仲間と励まし合い、孤独感を和らげる。
周りの人に相談する
不安や悩みをひとりで抱え込まず、周囲に相談する。
自分に合った学習方法を見つける
自分に合ったやり方を見つけ、無理なく続けられる学習スタイルを確立する。
目標を明確にし、定期的に成果を確認することで、モチベーションを維持することができます。
学習仲間を作れば互いに励まし合うことも可能で、さらに周りの人に相談することもモチベーション維持につながります。
自分に合った学習方法を見つければ楽しく学習することができるので、学習を長く続けるコツのひとつです。
常に新しい情報を取り入れる
税理士は常に最新の税制改正や会計基準の変更に対応する必要があります。そのため、常に新しい情報を取り入れることも税理士試験の勉強をするうえで重要です。
新しい情報を取り入れるためには、以下の方法が挙げられます。
書籍や雑誌を読む
税理士関連の書籍や専門誌で最新情報を得る。
セミナーに参加する
税理士会や会計事務所が開催するセミナーに参加する。
ウェブサイト・ブログをチェックする
税理士関連のウェブサイトやブログを定期的にチェックする。
仲間と情報交換をする
税理士の資格取得を目指す仲間と情報交換をする。
税理士関連の書籍や雑誌を読むことで、最新の税制改正や会計基準の変更に関する情報を収集することができます。
税理士会や会計事務所のセミナーに参加することで、最新の税務に関する知識を学ぶことができます。税理士関連のWebサイトやブログをチェックすることで、最新の税務に関する情報を収集することができます。
税理士の資格取得を目指す仲間と情報交換をすることで、最新の税務に関する情報を共有することができます。
まとめ
高卒から税理士になるには大学卒業者と比べて、実務経験を積む必要があるため時間がかかる場合があります。しかし、高卒から税理士への転職は決して不可能ではありません。
特に、実務経験は税理士試験の勉強にも役立つため、税理士事務所などでアルバイトや社員として働くことをおすすめします。
また、税理士試験は難易度が高く、合格率も低いため、計画的に勉強を進めることが重要です。ぜひ未来のキャリアを設計する時の参考にしてください。
以下の記事では税理士の資格講座を開講している予備校・通信講座を比較解説しているので、予備校の利用を検討している方はぜひあわせてチェックしてみてください。

