税理士試験の学習を始めるとき、多くの方が最初に迷うのが「簿記論と財務諸表論を同時に学ぶか、1科目ずつ進めるか」という選択です。この記事では、実際の受講料データをもとに、同時学習コースと単科コースの違いを比較します。
結論:同時学習コースは「時間短縮」と「総額の安さ」を両立しやすい
簿記論と財務諸表論は出題内容の多くが共通しているため、多くの予備校がこの2科目をセットにした「同時学習コース」を用意しています。2026年9月にクレアール公式サイトで確認したところ、単科を2つ別々に申し込むより、同時学習用のセットコースの方が受講料は安く設定されていました。ただし、同時学習は1科目あたりの週間学習時間が増えるため、確保できる学習時間によって向き不向きがあります。
クレアールで比較:単科2つ申込み vs 同時学習セット
クレアール公式サイト(crear-ac.co.jp、2026年9月確認)の「2027年合格目標講座」を例に、簿記論・財務諸表論を単科で2つ申し込む場合と、同時学習用の「簿財アドバンスレギュラーコース」を申し込む場合の受講料を比較します。
| 申込み方法 | 一般価格 | 2026年9月の割引価格(参考・終了済み) |
|---|---|---|
| 簿記論レギュラーコース(単科) | 196,000円 | 127,400円 |
| 財務諸表論レギュラーコース(単科) | 196,000円 | 127,400円 |
| 単科2つの合計 | 392,000円 | 254,800円 |
| 簿財アドバンスレギュラーコース(同時学習セット) | 255,000円 | 165,750円 |
| 差額(単科合計-セット) | 137,000円 | 89,050円 |
※割引価格はキャンペーン時期により変動します。表の割引価格は2026年9月の参考値で、9月のキャンペーンは2026年9月30日で終了しています。実際の金額は必ず公式サイトでご確認ください。一般価格ベースでも2026年9月の割引価格ベースでも、同時学習セットの方が10万円前後安くなっている点が確認できます。
クレアールは「非常識合格法」として、簿記論・財務諸表論の共通部分をまとめて学習することで、単純に2科目分の講義を別々に受けるより学習時間そのものを短縮できるとしています。受講料の差額は、この共通部分の重複を省いたカリキュラム設計によるものです。
他校の同時学習コースについて
TACや資格の大原などほかの予備校でも、簿記論・財務諸表論をまとめて学ぶ「簿財パック」「簿財セット」に相当するコースが用意されています。ただし、単科2つ分の合計額とセット額を同一条件で単純比較できる公開情報は、2026年9月時点では確認できませんでした。他校で比較する場合は非公表/要問い合わせとして、各校の窓口や資料請求で単科合計額とセット額の両方を確認することをおすすめします。
同時受講が向いている人・1科目ずつが向いている人
| 条件 | 向いている進め方 |
|---|---|
| 週15時間以上の学習時間を継続して確保できる | 同時学習(簿財セット) |
| 週5〜10時間程度しか確保できない、繁忙期がある | 1科目ずつ(単科) |
| 日商簿記の学習経験があり、計算に苦手意識がない | 同時学習(共通部分を活かしやすい) |
| 簿記の学習自体が初めてで、まず基礎を固めたい | 1科目ずつ、または簿記の基礎講座から |
| 次の税法科目の学習も見据えて早く進めたい | 同時学習 |
| 仕事の繁忙期が読めず、計画変更の可能性がある | 1科目ずつ(計画変更の影響を抑えやすい) |
同時学習コースは総額を抑えられる一方、1週間に学習しなければならない範囲が単科より広くなります。「安いから」という理由だけで同時学習を選び、消化不良のまま両科目とも中途半端になるのは避けたいパターンです。特に会計事務所勤務などで繁忙期がある社会人の方は、繁忙期に学習量を落とさざるを得ない可能性も踏まえて判断してください。
途中で計画を変更する場合の注意点
- 同時学習コースを申し込んだ後に「今年は1科目に絞りたい」と変更したい場合、コース変更や科目変更の可否・条件は学校ごとに異なるため、申込み前に変更ルールを確認しておく
- 単科で始めて、余裕が出てきたら2科目目を追加する場合、追加時の料金体系(単科申込みより高くなるか、セット割引が使えるか)を確認する
- 「オプション安心保証」のような、不合格時の翌年再受講に関する制度がある場合は、あわせて内容を確認しておく
よくある質問
Q. 簿記の学習経験がなくても同時学習コースを選べますか?
クレアールの簿財アドバンスレギュラーコースは初学者対象のコースとして案内されており、簿記の基礎を学べる講座と組み合わせて申し込む案内もあります。ただし、学習量が単科より多くなる点は変わらないため、平日にまとまった学習時間を確保しにくい方は、無理に同時学習を選ばず1科目ずつ進める選択肢も検討してください。
Q. 同時学習コースの方が必ず安いのですか?
2026年9月に確認したクレアールの例では、単科2つの合計より同時学習セットの方が安く設定されていました。ただし、学校やコースの組み合わせによって価格体系は異なるため、必ずしもすべての予備校・すべてのコースで同時学習が安くなるとは限りません。比較検討する際は、同じ年度・同じ学習スタイル(Web通信など)の条件で金額を確認してください。
Q. 途中で1科目に絞ることはできますか?
学校によって科目変更やコース変更のルールが異なります。同時学習コースを申し込む前に、途中で1科目に絞りたくなった場合の変更手続き・追加費用の有無を確認しておくと、繁忙期などで計画が崩れた場合にも対応しやすくなります。
同時学習か1科目ずつかを決めるチェック表
受講料の差だけでなく、毎週どれだけ復習時間を確保できるかで判断します。次の項目に「はい」が多いほど同時学習と相性がよく、「いいえ」が多い場合は1科目ずつの方が継続しやすい傾向があります。
| チェック項目 | はいの場合 | いいえの場合 |
|---|---|---|
| 週の学習時間を安定して確保できる | 同時学習の計画を立てやすい | まず1科目に絞り、繁忙期の波を確認 |
| 簿記論の計算演習を継続できる | 財務諸表論の理論も並行しやすい | 計算の基礎を固めてから2科目目へ |
| 毎週の講義を翌週までに復習できる | セットコースのメリットを活かせる | 未消化を防ぐため単科が安全 |
| 繁忙期や家庭の予定を事前に把握できる | 年間計画を組みやすい | 変更しやすい単科を優先 |
社会人の週間学習モデル
同時学習を選ぶ場合は、簿記論と財務諸表論を毎日均等に進めるより、曜日ごとに役割を分けると復習漏れを防げます。以下は一例で、実際の講座のカリキュラムに合わせて調整してください。
| 曜日 | 簿記論 | 財務諸表論 |
|---|---|---|
| 月・水 | 計算講義、個別問題 | 前週理論の確認 |
| 火・木 | 前日の誤答復習 | 理論講義、条文・基準の整理 |
| 金 | 軽い一問一答 | 暗記カード・要点確認 |
| 土・日 | 総合問題・時間計測 | 理論記述と一週間の復習 |
1科目ずつ進める場合は、空いた時間をその科目の演習と復習に集中できます。合格目標年度、次に受ける税法科目、会計事務所の繁忙期を並べて、1年単位で無理がないかを確認しましょう。
他校と比較するときに見るべき条件
クレアールのセット価格は一例です。税理士講座を比較するときは、学校名や割引率だけでなく、同じ条件で次の項目をそろえて確認します。
- Web通信・通学など受講形態と、講義の視聴期限。
- 簿記論・財務諸表論それぞれの講義時間、答練回数、添削の有無。
- 途中で1科目へ変更できるか、変更時の追加料金や返金条件。
- 不合格時の再受講制度、質問回数、教材の発送時期。
- 割引適用後だけでなく、通常価格と追加オプションを含む総額。
試験日程・受験案内は年度ごとに変わるため、申込み前に国税庁の税理士試験案内と各校の公式ページを確認してください。
まとめ
簿記論・財務諸表論を同時に学ぶか1科目ずつ進めるかは、確保できる週の学習時間と、簿記学習の経験の有無によって判断するのが現実的です。2026年9月に確認したクレアールの例では、同時学習セットの方が単科合計より受講料が安く設定されていましたが、学習量そのものは増えるため、繁忙期がある社会人の方は無理のない範囲で選択することをおすすめします。
税理士講座全体の比較は、税理士の予備校・通信講座比較記事もあわせてご確認ください。

