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社会保険労務士の仕事

社会保険労務士の仕事
目次

社会保険労務士の仕事

社会保険労務士の仕事

社会保険労務士は、社会保険労務士試験に合格した後、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録された国家資格者です。

社会保険労務士(一般的に略して社労士労務士とも呼ばれます。)は、企業が経営活動するために重要な人、物、お金のうち、人の採用から退職までの社会保険、労働に関する諸問題、さらに年金の相談まで応じる人に関するエキスパートと言われています。

社会保険、人事、労務管理の専門家が社労士、企業全てのお金に関する専門家が税理士であるため、これらの士業は会社経営には無くてはならない法律家です。

さらに行政機関への提出書類や申請書等を依頼者に代わって作成すること、個別労働関係紛争調停、あっせん等の解決手続の代理も行います。

リモートワークの増加に伴い、労働時間の管理等、社労士が支援できる項目に対して企業が課題を感じており、社労士の需要はさらに高まるとも言われています。

仕事内容については、労働・社会保険諸法令の非常に広い範囲に及び、かつ法改正が頻繁に行われることなどから、常に知識の習得や実務能力の向上に努めなければなりません

厚生労働大臣が定める特別研修を終えて、紛争解決手続代理業務試験に合格した特定社会保険労務士は、経営者と労働者間のトラブルを裁判により勝ち、負けを付けるのではなく、当事者間の話し合いにより解決を目指す個別労働関係紛争にかかわる業務を行うことができるため、さらに活躍の場が広がります

そんな重要視される職業である社会保険労務士ですが、現在の登録者数では企業の多様化するニーズに対応していくには全く不足している状態です。よって時代が求める非常に有望な資格の一つと言えます。

社会保険労務士資格の詳細について

社会保険労務士資格の詳細については、次のページで詳細に解説しています。

社会保険労務士(社労士)資格が人気の理由

  1. 働きながら短期間で合格することができる!
    公認会計士や税理士と比較すると短期間(半年~2年)で十分に合格が狙える国家資格です。実際、社労士試験合格者の約70%は仕事を持っている社会人です。今の仕事を続けながら短期間で合格することは可能なのです。
  2. 独立開業または企業に勤める、自分に合った働き方を自由に選択できる!
    不況に関係ない専門性の高い知識であるため、独立開業して企業と顧問契約を結び収入を得る方法と、企業に勤め内部から問題点の改善や福利厚生の向上に寄与するか、自分の人生設計の選択肢が広がります
  3. 就職や転職の強い武器となり高い評価を得られる!
    資格手当を支給する会社があるほど、現在では重要視されている国家資格です。現在そしてこれからの雇用形態の多様化に備え、社内でも人事のエキスパートを必要とする企業が増えています。社労士は、就職、転職にかなり有利な資格と言えます。
  4. 学習内容が身近で面白い
    労働に関することや病気やケガによる保険について、学習内容は決して知らない世界の話ではなく日常生活に関わる法律についてです。自分の生活にも大きくかかわる内容となっているので、いろんな場面で役立つ知識であることは間違いないです。
  5. 性別、年齢関係なく活躍できる
    男女、年齢関係なく対等な立場で仕事ができ、結婚、出産を経ても自分の生活環境に合わせて活躍ができます。近年注目されている、パワハラ、セクハラ、マタハラなどの相談内容に関して、女性社労士のニーズが増えてきています。子育てを終えてから、社会保険労務士試験の勉強を始める方も実際にいらっしゃいます。

社会保険労務士の年収について

社労士の全体の平均年収は、約500万円程度といわれています。しかし、実際の年収は努める企業や事務所の規模、経験年数によって違います

開業している社労士の中には年収1000万円を超えている人もいます。現在社会保険労務士の報酬規定は撤廃されていますので、価格設定は自由に行えます。そのため、より多くの年収を手にしたい人にとっては広くチャレンジできる機会が開かれています。また男女における賃金格差は少なく、女性でも年収500万円以上めざすことも十分に可能になっています。

社会保険労務士の高まるニーズ

社会保険労務士の高まるニーズ

今後の社労士の仕事の将来性や需要についてみていきます。

AIの発達により、申請や給与計算といった業務については少なくなる可能性があります。しかしそれ以上に3号業務に関しての需要が高まる可能性が高く、今後も社労士の需要は高まっていくだろうという見方があります。

昨今の新型コロナウイルスの蔓延により、企業はテレワークへの対応が求められることとなりました。この時企業の人事が頭を悩ませたのが、テレワークの労務管理です。

どのようにして労務管理を行えばいいのかという問題や、これに合わせた社内制度の改正などの様々な課題が出てきました。

事実、テレワークで感じた課題についての企業からのアンケートによると、社労士が支援できる事項についての課題が多いことがわかります。

このように新たな時代や環境の変化に対応するのは、企業だけでは限界があります。

こういった時にも、いち早く多くの情報をキャッチし様々な変化に対応できる多くの知識を持った社労士は、更なる活躍の場が出てくるでしょう。

社会保険労務士資格取得のメリット

社会保険労務士資格取得のメリット

社会保険労務士の資格取得には、様々なメリットがあります。

中小企業を顧客として、労働・社会保険の諸手続きの代行や年金相談・労務相談のほかコンサルティング業務まで幅広い仕事が可能です。

また、社会保険労務士の知識は一般企業においても必要不可欠です。社労士としての専門知識を生かす場は増加してきており、企業内での活躍も期待されています。

また社会保険労務士は、ほかの士業に比べて資格取得者に占める女性の割合が高いデータ出ています。企業で人事・総務に関わる仕事をしながら資格を取得する人も多いため、合格者に占める女性の割合がほかの士業に比べて高くなりやすいと考えられます。

①業務のフィールドが幅広く、②高い専門知識を生かせ、③企業内でも欠かせない人材となり、④女性が多く活躍していることから、他の仕事と比べて女性が高収入を狙える資格であるといえるでしょう。

社会保険労務士の仕事

社会保険労務士の仕事

社会保険労務士は、企業経営において重要な「人」に関するエキスパートとして、人事・労務管理全般に関する問題点を改善します。昨今の少子高齢化及び人手不足という時代の要請を受けて、活躍の場はますます拡大しています。

2020年新型コロナウイルスの影響により雇用関係に大きな影響が出ており、また、給付金申請等の業務も増えています

社会保険労務士の基本業務

社会保険労務士としての業務には独占業務非独占業務があり、1号業務、2号業務、3号業務の三つに区分されます。

※独占業務:社会保険労務士の資格保持者で要件を満たしたものが行うことのできる業務。

1号業務(独占業務

行政機関に提出する労働保険諸法令に基づく申請書、届出書、報告書などを作成することや代行すること、及び労使間の紛争の代理や行政機関に対する主張の代理人になることです。 

  1. 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成
    1. 社会保険・労働保険の申請書作成と申請書提出代行
    2. 労働保険の年度更新の手続き
    3. 社会保険の算定基礎届の作成
  2. 紛争解決手続代理業務
    紛争解決手続代理業務とは、個別労働委関係紛争解決促進法の紛争調整委員会におけるあっせんの手続きについて紛争の当事者を代理することで、特定社会保険労務士に限り行うことができます。
    1. あっせん申立てに関する相談及び手続
    2. 代理人として意見を陳述
    3. 相手方との和解のための交渉及び和解契約の締結の代理

2号業務(独占業務

労働社会保険関係法令に基づく帳簿書類の作成

  1. 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類等の作成
    1. 就業規則、賃金、退職規定等の各種労使協定の作成、変更、届出
    2. 労働者名簿、賃金台帳の作成
    3. 各種助成金などの申請

3号業務(非独占業務)

事業における労務管理等労働に関する事項、社会保険に関する事項について相談に応じ、指導する業務をいいます。

  1. 労務管理の相談指導業務
    変形労働時間制やフレックスタイム制の導入等労働時間に関する事項、有給休暇、育児・介護休業制度の導入、従業員の人材配置、人事評価制度の提案等、人材募集・採用・退職等の雇用サポート、高齢者雇用、派遣労働者、外国人雇用、賃金・賞与・退職金等の制度提案、教育訓練計画・・・労務に関する様々な問題に対処します。
    1. 採用・人材育成・退職などに関する相談
    2. 人事・賃金・労働時間の相談
    3. 経営労務監査
  2. 年金相談業務
    高齢者・障害者・遺族からの年金相談・年金受給手続きについての助言等を行います。
    1. 年金の加入期間、受給資格などの確認
    2. 裁定請求書の作成・提出

1号・2号業務は自社内でならば行うことができるため、企業の総務担当者が行っている場合も多いです。

現在では、非独占業務の3号業務である経営コンサルタントとしての仕事のニーズが高まってきています

たとえば、以下のようなものがあります。

  • 労働関係(時間外・休日労働問題、残業等未払問題)
  • 労働時間管理(変形労働時間制の導入、シフト制、長時間労働の是正等)
  • 解雇問題
  • セクハラ問題
  • パワハラ問題
  • メンタルヘルス(メンタルヘルス不調による休職等)
  • 助成金活用をした求人・教育訓練
社労士の基本業務

社労士は、専門的な知識と法律により事前に問題となるような事態を起さないための対策を取り、労働者のための労働環境・条件の改善を図るよう企業にアドバイスすることが求められます。

また社労士は、多くの企業からの相談のなかで多くの知識・ノウハウを得ることができます。そのため、労務管理や人事評価において問題を抱える企業に対して必要なアドバイスをし、企業の発展を手伝うことができます。社労士は、企業と労働者双方の立場から求められる人材であり、社会全般に対して深く関わる仕事なのです。

さらに社労士は、労働問題だけでなく日常生活での医療保険や介護保険、年金などの不安に対しても相談に応じ、適切なアドバイスを行います。

事務処理的なイメージが持たれがちですが、実は人が安心して働き、暮らしていくための相談業務を行う社労士は、今の社会に必要不可欠な仕事と言えます。

最近では、ワーキングプアやセクハラ・マタハラ・パワハラなど労働問題が様々生じています。このことから、今後は3号業務であるコンサルティング業務がかなり重要になってくることでしょう。

ここからは、社会保険労務士の各業務について詳しく見ていきます。

労働保険・社会保険手続業務

労働保険・社会保険手続業務

複雑・多岐にわたる労働保険・社会保険の諸手続きを、企業に代わって行います。

労働保険・社会保険に関する手続きは下記の通り種類が多く、処理が細かくなっています。

  • 労働保険、社会保険の新規加入と脱退
  • 労働保険の保険料申告手続きおよび年度更新
  • 健康保険・厚生年金保険の算定基礎届および月額変更の手続き
  • 健康保険・厚生年金保険賞与支払届の手続き
  • 健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付申請の手続き
  • 育児休業給付・介護休業給付の受給資格の確認および基本給付金の申請
  • 高年齢雇用継続給付の手続き
  • 労災保険の給付請求手続き
  • 労働者派遣事業などの許可申請手続き
  • 時間外協定などの各種申請手続き
  • 老齢年金、遺族年金、障害年金等の裁定請求手続き
  • 解雇予告除外認定申請手続き
  • 健康保険証、離職票発行手続き

労務管理の相談・指導業務

従業員の良好な労使関係の維持のためや労働者が納得して能力を発揮できるようにするために、職場に合った労務管理の適切な指導やアドバイスを行います。

労務管理の相談・指導業務

人事制度・賃金制度の構築支援

人事制度・賃金制度の構築支援

企業の現状を把握し、会社の方向性などを明確にした上で、その企業に合った人事・賃金制度を作成します。人事制度の内容は多岐にわたります。人事分野の体系として、以下のようなものが挙げられます。

  • 人材要員管理:人材計画、募集採用
  • 人材活用管理:配置・異動・昇進・雇用形態
  • 人材育成管理:職務開発、職業開発、人材教育
  • 処遇管理:昇格管理、賃金管理
  • 労使関係管理:福利厚生
  • 安全衛生管理:安全衛生
  • 秩序維持管理:就業規則管理

また、賃金設計の幅を広げることが社会保険労務士の仕事の幅を広げることにつながります

賃金を検討する場合「年功基準」「職務基準」「職能基準」「役割基準」の4つの基準があり、これらを組み合わせてどのような賃金を支払うか決めていきます。今では従来の年功序列と違い1人ひとりの能力を評価しなければならなくなり、評価制度や人材育成制度など「トータル人事制度」という複雑な制度を構成するようになってきています。そういった制度を構築するために人事の深い専門知識を持つ社労士の活躍が必要となっています。

給与計算

給与計算とは、社員や契約社員などの毎月の給与を計算する業務のことです。社員への正しい給与額を計算し、同時に国に治める正しい税額・保険料を計算することになります。

給与計算を行うには、労働契約・賃金・勤怠管理など、労働基準法に沿って適切に管理されている必要があります。賃金台帳、出勤簿などの準備を万全に行い、法改正にも迅速な対応が必要です。

給与計算

障がい者・パートタイマーなどの雇用管理の相談等

障害者・パートタイマーなどの雇用管理の相談等

2020年4月(中小企業においては2021年4月)より、パートタイム・有期雇用労働法が施行されました。

そのため社労士は、雇用管理を改善するよう企業からの相談を受けることがあります。

また障害者雇用促進法により従業員43.5人以上の民間企業に法定雇用率2.3%が義務付けられていますが、障がい者の雇用にあたっての相談を受けることもあります。

助成金の提案や申請

社労士の業務の中でも、特に中小企業からの需要が高い分野です。社労士が得意とするのは雇用関係の助成金ですが、この支給を受けるにはいくつかのステップがあり、それらを正しく行うために社労士の支援が求められることになります。

助成金に関する情報は基本的に4月に見直され、厚生労働省のメールマガジンやインターネットでハローワークの「雇用の安定のために」という冊子を取り寄せることで最新の情報を得られます。そういった情報収集を絶えず行い、それぞれの企業に合った助成金・補助金を提案し、複雑な申請業務を行うのも社労士の大事な役割の一つとなっています。

助成金の提案や申請

年金相談業務

年金相談業務

複雑な年金制度について相談を受け、誰にでも分かりやすく説明し、各種事務手続きを代行します。

年金相談は複雑であり、本当に専門的に業務をこなすには十分な勉強と経験が求められます。そのため、年金を中心として仕事をしている社労士もいます。

紛争解決手続代理業務

訴訟によらない「あっせん」手続きにより、簡易・迅速に紛争を代理して解決します。

裁判外紛争解決手続ADR:Alternative Dispute Resolutinの略)」は、都道府県が行う「あっせん」の制度や、社会保険労務士会で実施しているものもあります。

そしてこのようなADRを労使が利用しやすくするために、専門的な立場から支援する特定社会保険労務士が設けられました。特定社会保険労務士となるには、厚生労働大臣定める研修を修了し、「紛争解決手続代理業務試験」に合格しなければなりません。

紛争解決手続代理業務

特定社会保険労務士とは

社会保険労務士として登録している人で、厚生労働大臣が定める研修(特別研修)を終えて、紛争解決手続代理業務試験に合格した人を言います。

法律の改正により特定社会保険労務士制度が誕生し、以前は制限されていた個別労働関係紛争に係る紛争解決手続の代行業務の一翼を担うことが可能になりました。特定社会保険労務士は、労働者と経営者が紛争状態となったとき、 裁判外紛争解決手続ADR)において申立人の代理人となって解決を支援することができます。つまり経営者と労働者間のトラブルを、裁判で勝ち負けを付けるのではなく当事者間の話し合いにより解決を目指すのが求められる役割です。 個別労働紛争で社会保険労務士が代理人になれるものには、次のものがあります。

  1. 個別労働紛争について、厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続きの代理(ただし、紛争価額が60万円を超える事件の場合は弁護士の共同受任が必要となる)
  2. 個別労働紛争解決促進法に基づいて、都道府県労働局が行うあっせん手続きの代理
  3. 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法およびパートタイム労働法に基づいて、都道府県労働委員会が行うあっせん手続きの代理
  4. 個別労働紛争について、都道府県労働委員会が行うあっせん手続きの代理

経済の低迷、雇用構造の多様化等により近年は個別労働関係紛争が増えてきているため、社会保険労務士(社労士)の果たす役割は大きくなってきています。

紛争解決手続代理業務試験

令和2年度3月31日時点における社会保険労務士の登録人数は42,887人ですが、そのうち特定社会保険労務士は13,447人であり社労士全体の31.4%となっています。社会保険労務士のうち3割しか存在しないので、特定社会保険労務士となることで営業面で他の社労士より優位に立てる可能性があります。

特定社会保険労務士になるためには紛争解決手続代理業務試験の合格が必要ですが、その合格率は50~60%です。合格率3~6%の難関試験である社労士試験を突破した者の中で半数近くが不合格となる試験であるので、難易度は決して低くありません

補佐人業務

補佐人業務

社会保険労務士が補佐人として弁護士と共に訴訟の対応にあたることで、依頼者が安心して訴訟による解決を図ることができます。労務管理等の労働に関する事項や社会保険に関する事項が中心となります。

社会保険労務士(社労士)の働き方

社会保険労務士は、企業経営において重要な「人」に関するエキスパートとして人事・労務管理全般に関する問題点を改善します。昨今の少子高齢化及び人手不足という時代の要請を受けて、活躍の場はますます拡大しています。

  1. 開業社労士として活躍する
    自分の事務所を構え、一国一城の主として活躍する道です。
    主に中小企業を顧客として、社会保険、労働保険の事務手続きの代行業務を中心に行います。しかしそれだけでなく、最近は人材活用に関するコンサルタントとしての役割も大きくなってきており、年金相談や労務管理の相談が増えてきています。
    業務報酬も仕事の内容により細かく定めることで、顧問契約を数社と結べば毎月安定した高収入が得られます。誕生してわずか30年余年と、法律関係の国家資格の中でまだ歴史は浅い部類ですが、社会的ニーズが高まる現在、絶対数が不足している今そこ独立開業のチャンスがあるといえます。現在、社会保険労務の約6割が独立開業社労士です。
  2. 勤務社労士として活躍する
    社会保険、労働保険などの保険加入に関わる事務手続きはもちろんのこと、企業の健全な発展には、より良い人材確保が不可欠であり、多くの企業が人事計画、賃金体系の見直し、教育カリキュラムの作成に取り組んでします。このような労務環境整備のスペシャリストである社会保険労務士(社労士)は、社内で労務管理責任者など確固とした地位を築くことができます。企業の総務・人事部門での活躍が期待されます。
  3. その他
    銀行などの年金相談窓口担当者、生保、損保における営業や企画担当者など多方面にわたって活躍できる分野があり、就職・転職にも有利な資格です。今後ますます活躍の場が増えていくと期待されています。

就職先

「社会保険労務士」というと「=独立開業」というイメージがつきがちですが、必ずしもそうとは限りません。
社会保険労務士の就職先は多様でその活躍のフィールドは広いといえます。

しかしながら、せっかく努力して取得した社会保険労務士資格を活かせる場所となると、ある程度限定的になります。
社会保険労務士資格が活かせる就職先としては、主に、開業社労士・社会保険労務士法人、勤務社労士の3つがあります。以下、細かく分けてみていきましょう。

社会保険労務士として独立開業

自分の社会保険労務士事務所、社労士法人を構え、一国一城の主として活躍する道です。一度勤務型で経験を積んでから開業する人がほとんどです。

主に中小企業を顧客として、社会保険、労働保険の事務手続きの代行業務を中心に行います。

最近は人材活用に関するコンサルタントとしての役割も大きくなってきており、年金相談や労務管理の相談が増えてきています。

業務報酬も仕事の内容により細かく定めることで、顧問契約を数社と結べば毎月安定した高収入が得られます。

社会的ニーズが高まる現在、絶対数が不足しており、現在、社会保険労務の約6割が独立開業社労士です。

「補助金・助成金申請、就業規則作成など単発で得る報酬」と、「顧問契約を結び継続的に業務を行い得る報酬」の2つのタイプがあり、顧問契約や単発収入により年収が変動しますので、開業型では年収の幅が広くなります。その分やりがいがある仕事になります。

安定した収入アップの秘訣は、顧問契約の獲得になりますが、人事・労務コンサルティング業務を得意とし契約を勝ち取る営業力が必要になります。雇用先の新規開拓を進めるためには、豊富な実務経験はもちろんのこと、営業力とマーケティング能力も求められます。

他士業の事務所

社会保険労務士ではない他の士業の事務所内で社会保険労務士業務を行います。弁護士事務所であれば、法律のスペシャリストである弁護士とともに、労務管理や人事に関する業務をこなします。事務所において、賃金形態や労災、年金に関して相談に乗ったりするもので、基本的な業務内容は社会保険事務所と変わりません。ただし、社会保険事務所と同様、求人数がすくなく、狭き門といえるでしょう。

勤務社労士として就職

大手の社会保険労務士法人や個人の社会保険労務士事務所で勤務社労士として就職・転職することも可能です。

代表的な就職先とはいえ、少人数の社労士事務所が多いため、求人が少ないのが難点です。たとえ資格を持っていても「すんなりと就職するのは難しいといえるでしょう。

次のような仕事をすることが中心となります。
・社会保険・労働保険の各種手続き
・給与計算・年末調整の代行
・顧問契約先からの人事・労務相談対応
・就業規則や労務に関する契約書などの作成
・社員研修・社員教育

給与計算を中心としている社会保険労務士事務所では、毎月給料締め日や算定基礎の時期は遅くまで残業することがほとんどです。

一般企業への就職

企業に勤める場合は、社会保険労務士の資格を生かして人事・総務関係の仕事をするのが一般的です。就職・転職の場合は、人事部や総務部など事務系職種に応募し、履歴書や面接で社会保険労務士の資格をアピールすることができます。

また、企業で人事・総務の業務に就きながら、キャリアアップのために資格を取る人も少なくありません。

社会保険、労働保険などの保険加入に関わる事務手続きはもちろんのこと、企業の健全な発展には、より良い人材確保が不可欠であり、多くの企業が人事計画、賃金体系の見直し、教育カリキュラムの作成に取り組んでします。

このような労務環境整備のスペシャリストである社会保険労務士(社労士)は、社内で労務管理責任者など確固とした地位を築くことができます。企業の総務・人事部門での活躍が期待されます。

勤務社労士の最大のメリットは毎月安定した収入を得られることです。一方、一企業の一従業員であるため、資格手当等を除いて極端に高い収入になることは稀です。

コンサルティング会社

コンサルティング会社で、人事関係や労務関係についての相談やアドバイスを行う仕事もあります。人事制度や雇用コストの見直しなどにより、相談先企業の利益に貢献するのが主な役割です。利益貢献を目的としているため、社労士としての十分な能力に加えて、マネジメント能力も必要とされます。

アウトソーシング会社

アウトソーシング会社では、企業から委託された社会保険や労働保険、給与計算の事務業務が委託されています。その為、社会保険労務に関する知識が必須となり、社労士としての能力が重宝されます。規模の大きい会社の処理や、一度に大量の件数を処理することもあり、しっかりと実務経験を積むこともできます。

その他の就職

銀行などの年金相談窓口担当者、生保、損保における営業や企画担当者など多方面にわたって活躍できる分野があり、就職・転職にも有利な資格です。

今後ますます活躍の場が増えていくと期待されています。

社労士を活かした仕事の事例

社労士資格を活かした仕事として、次のようなものもあります。

●公的機関等での相談員

●各種セミナー

  • 年金セミナー
  • 社会保険セミナー
  • 各種手続きセミナー
  • 就活セミナー(学生向け)
  • 求人セミナー(会社向け)

●書籍・雑誌・ネット等の執筆

●専門学校等での講師

●給与・年金等のシュミレーションソフトの監修

未経験でも就職できるのか?

社労士の求人では、資格よりも実務重視の傾向があります。しかし、すべての求人が実務経験を必須としているわけではありません。

しかし、「資格」と「経験」、この2つが合わさると、企業にとって魅力的な人材に移ります。

または、社労士に加えて別の資格を併せ持つことで、就職に有利に働きます。

たとえば以下のような社労士業務と関わりの深い資格有していることで、その業界における様々な知識を身につけている人物として、人事担当者の目に留まりやすくなります。

  • 行政書士
  • 中小企業診断士
  • 簿記検定
  • ファイナンシャルプランナー

※その他経験で差をつける
社労士法人では、新たな雇用先開拓のため「助成金の提案」などにより顧客増加を出来る営業力を求めている場合があります。その際には「営業職」の経験が重宝されることがあります。実際、大手社労士法人では「営業職」の経験者を募集することもあります。

社会保険労務士に求められる能力とは

●計算能力

労働者ごとの支給額や控除額などの給与計算が必要な為、数字に強い計算力などが求められます。

●事務処理能力

行政に提出する書類や賃金台帳の作成など、正確で地道な作業をこなす能力が必要です。提出書類には、労働、社会保険に関する重要なものが多く、一度ミスがあると、修正に多くの時間を費やすこととなってしまいます。

●情報収集能力

実務の面でも広く、社会保険・労務の両方に関わるため、それらにかかわる法改正なども多く、法改正に伴う知識のアップデートが必要となります。さらに、企業にとって重要な情報や新たに創設された助成金など、企業にとって有益な情報を日頃から収集しておく力が求められます。

●コミュニケーション能力

書類作成作業だけでなく、企業のコンサルティングとしての仕事も多いため、企業の相談にいろいろな乗り、的確なアドバイスをすること。また、企業に必要だと感じたことを積極的に提案する能力です。

●高い倫理観と誠実性

経営者の利益追求のためだけでなく、労務管理のエキスパートでもある労務士は、労働者の側にも立って物事を判断する能力が求められます。社会保険労務士の責務として、

社会保険労務士法 1条の2
「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない」

とあります。

このように、多くの士業については、労使いずれか一方の立場の利益を守ればよいですが、労務士は企業と労働者の間に立ち、良好な関係を維持し、いずれか一方が損することのないように努めなければなりません。

初めからこのようなスキルを身に付けるのは難しいことです。まずは資格試験に合格し、資格取得後に実務を実際に行っていく中で、上記のようなスキルを身につけていくようにすることが大事です。

まず、その為にできることは、

  • 多くの人と交流ももつ。
  • できる分野のみ仕事をするのではなく、やりながら覚える。
  • 専門分野をつくる。
  • 経理的な知識だけではなく、会社経営に関する知識も身につける。

です。これらを実践し、一日でも早くクライアントから信頼される社会保険労務士に成長することが必要です。

社労士と個人情報保護

個人情報保護法の施工により、企業は個人情報の流出防止を重要視することになりました。また、平成28年より運用が開始されたマイナンバー制度では、個人情報保護法より更に厳しい罰則が設けられており、厳格な安全管理措置が求められています。

社労士における個人情報の取り扱いは、社労士法の規定、また職業倫理の遵守という観点から、適切に行わなければなりません。

社労士法には、「第21条(秘密を守る義務) 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知りえた秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。」とあります。

さらに、企業においては差別化を図るため、「プライバーマーク」を取得する企業が増えています。しかし、プライバシーマークは、取得や更新費用が高額であることから、社会保険労務士事務所が独自に取得するのは、大変です。そこで、連合会が平成20年に社会保険労務士独自の個人情報保護制度として、「社会保険労務士個人情報認証制度(SRP認証制度)」を創設しました。

この制度は、社会保険労務士事務所(法人を含む単位で認証されるため、申請者は「開業」または「法人の会員」として登録されている者に限られます。

取得した社会保険労務士は、ホームページや名刺などに表示することができ、個人情報の管理水準の高さをアピールすることができます。

社会保険労務士の主な年間業務スケジュール

1月

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10月~12月分の「労働者死傷病報告」(休業4日未満)

※「労働者死傷病報告」は、休業が4日未満の場合は、発生労働災害を期間ごとに取りまとめて労働基準監督署に提出しなければなりません。

10月~12月分の「労働者死傷病報告」(休業4日未満)

※「労働者死傷病報告」は、休業が4日未満の場合は、発生労働災害を期間ごとに取りまとめて労働基準監督署に提出しなければなりません。

  • 1~3月分 4月末までに報告
  • 4~6月分 7月末までに報告
  • 7~9月分 10月までに報告
  • 10~12月分 1月末までに報告

3月

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健康保険料・介護保険料の改定
「36協定」の更新・届出
次年度、介護保険に該当する被保険者の確認(40歳・65歳になる人)

36協定とは

「時間外、休日労働に関する協定届」のことで、労働法における法定労働時間は「1日8時間、1週間40時間以内」とされていますが、これを超えて時間外労働をする可能性のある企業は、規模にかかわりなく年1回、時間外労働に関する協定を締結し、定められた様式で労働基準監督署へ提出することが必要とされています。

協定書には、業務の種類別に1日、1か月、1年あたりの時間外労働の上限などを決めなければいけないため、労働時間について、社内制度を検討する必要があります。

6月

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労働保険年度更新申告(6月1日~7月10日まで)

※労働保険の年度更新:労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算します。そのため、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付の手続きが必要です。手続きが遅れると、政府が保険料・拠出金の額を決定し、さらに追徴金を課されることもあります。

また、一時的に働いたアルバイトでも労働保険の対象になるため、計算に含める必要があります。

住民税の切り替え

7月

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算定基礎届の提出

※算定基礎届:7月1日現在で使用している全被保険者について、3か月間の報酬月額を提出します。また、算定基礎届提出時期以外でも、被保険者の報酬が大幅に変わったときは、書類の提出が必要です。マイナンバーの記載が必須になったり、電子申請による届け出ができたりと、さまざまな運用変更が行われていいます。

高年齢者および障害者雇用状況報告

※高齢者および障害者雇用状況報告:毎年6月初旬に、提出が必要な事業所には書面が届きます。提出期限は7月15日までです。

9月

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厚生年金保険料率の変更

算定基礎届による標準報酬の変更

10月

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最低賃金の確認

12月

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年末調整

これらの手続き時期が近付いたら、社労士は、必要な手続きを行います。これらは、毎年すべての企業に一斉に発生するものですが、社会保険・労働保険は、被保険者の年齢によって処理しなければいけない事項があるので注意が必要です。

うっかりミスを防ぐために、年齢による管理をし、毎年チェックしましょう。

被保険者の年齢による処理事項

年齢社会保険労働保険変更内容届け先給与計算変更
40歳介護保険保険料徴収開始(40歳到達月)あり
60歳雇用保険60歳賃金登録・「60歳賃金到達証明書」の提出(60歳到達月)ハローワーク
64歳雇用保険保険料の免除(4月1日)あり
65歳介護保険第1号保険者(65歳到達月) あり
70歳厚生年金被保険者資格喪失(70歳到達月)・「資格喪失届」提出(喪失日:誕生日前日)                「70歳以上被用者該当届」もあわせて提出年金事務所
75歳健康保険後期高齢者医療へ・「資格喪失届提出」(喪失日:誕生日前日)年金事務所
被保険者の年齢による処理事項

社会保険労務士の仕事 まとめ

社会保険労務士の仕事のまとめは以下の通りです。

  • 社会保険労務士の需要は高く、少子高齢化等の要因から今後も伸びると見込まれる
  • 活躍の幅が広く、企業内でも重宝される可能性が高い。転職にも有利になる
  • 女性が多く活躍しており、男女間格差や年齢の格差なく活躍できる
  • 開業すれば年収1,000万円も十分狙える

社会保険労務士の資格取得を目指すならば、自分の性格・環境に適した資格学校の選定が重要になります。社労士の各学校の比較はこちらのページからできます。学習スタイル・費用等を考慮した学校選びで社会保険労務士試験の合格を目指しましょう。

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