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法曹三者の仕事

目次

法曹の魅力と仕事

法曹の魅力と仕事

法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)は、法律の精神を守り、人権を守ることを社会的使命とする法律のプロフェッショナルです。高度な専門性が要求され、複雑な紛争を解決する法曹三者は、ステータスも高く高収入な職業の一つです。
希少性の高い高度な専門知識に支えられた法曹三者は、性別を問わず力を発揮できる注目度の高い職業となっています。

弁護士

弁護士

弁護士の魅力

弁護士法でその役割を「基本的人権の擁護と社会正義の実現」と規定される弁護士。実務法曹の中で活動領域・自由度はNo.1。ますます多岐に渡っていく「争い」の形にあわせて、その活躍の場もどんどん広がっています。

弁護士の仕事内容

民事事件・刑事事件等

民事事件
 交通事故・離婚などの身近な問題から会社関係等の大きな問題まで幅広い活動をします

刑事事件
 被疑者・被告人の無罪を主張したり、刑の軽減を主張したりするための弁護活動をします。

公務

官公庁や地方自治体で専門知識を活かして、法改正や政策形成に関わっていきます。

政策秘書

高度な法律の知識を活かして、政策研究、法案準備などの業務をこなしていきます。

企業内弁護士(インハウスローヤー)

企業の役員や従業員として勤務する「企業内弁護士」として活躍していきます。

契約書の内容を確認したり、労働契約を作成したり、新たに始めるビジネスが法的に違反しないかの判断や、違反している場合にはどのように改善すべきかなどの提案を行います。

企業内弁護士(インハウスローヤー)

ここ10年で約10倍と著しく弁護士の需要が伸びているのが、「企業内弁護士」と呼ばれる分野です。以前から商社や外資系金融機関など、海外取引が盛んな業種では企業内弁護士が活躍していましたが、最近ではそれらの業種にとどまらず、多くの国内企業が企業内弁護士を積極的に採用しています。

その背景にあるのが、最新テクノロジーに関連する先進技術の発達です。多くの企業が最新テクノロジーを用いた商品やサービスを開発していく中、他社よりもいち早く新商品を世に送り出す必要があります。しかし、まだまだ先進技術に関する法整備が整っているとは言えない今、法的リスクを回避するために必要とされるのが法律のプロフェッショナルである弁護士です。法律事務所に相談して事業を進めることは可能ですが、自社に比べるとどうしても時間も費用もかかってしまいます。その点自社の特徴を理解している企業内弁護士ならば、迅速な対応ができます。先進技術が発達すればするほど、企業間での弁護士の需要は高まってくるでしょう。

企業内弁護士の仕事内容

  1. 法的紛争解決
    発生した訴訟やクレームへの対応業務。
    ほとんどのトラブルは会社担当者が処理しますので、弁護士としての相談になるのは難しい案件であることが多いです。その際は、弁護士が会社の代理人として取引先とのトラブル対応にあたることになります。事前の交渉でまとまらない場合には、裁判手続きに移行することになります。
  2. 法的紛争の予防
    訴訟やクレームを未然に防ぐための行動。
  3. コンプライアンス業務
    企業活動が法律上問題ないかのチェック業務。従業員や役員の教育・啓蒙活動。法律の改正によって、会社の規定を改定する場合、弁護士として法律改正の趣旨を踏まえながら、どのような改定が必要かアドバイスしたり、規定の作成作業を行います。
    最近は法律の改正が多く、さらに個人情報保護法など会社として規定を作成しなければならないものが増えています。弁護士として的確なアドバイスが出来るよう、常に最新の情報を入手し勉強することが大事です。

弁護士の仕事の流れ

弁護士の仕事の流れ
  1. 依頼者から相談を受ける
    個人や企業から相談を受け、内容によって裁判を起こすのか、示談に持っていくのかなどを決めます。提訴された人からの相談の場合には、どのように対応すべきかを提示し、解決へ向けてサポートを行います。その他、企業からは、契約書のチェックや外国の法律への対応の相談などもあります。
  1. 書面を作成
    提訴する場合には、裁判所への提出書類を作成します。裁判を起こす場合には、「訴状」、「証拠」、「証拠証明書」が基本的に必要となります。
  1. 裁判で闘う
    書面が裁判所で受理されると、通知が届き、裁判が始まります。裁判が不服な場合には、合計3回まで裁判を行うことができます。弁護士は、最後の判決が出るまで、相談者を守る役目をします。

当番弁護士制度

当番弁護士制度

逮捕された人やその家族などから弁護士会に依頼があったときに、待機している弁護士が検察署などに駆け付け、逮捕された方と接見しアドバイスする制度です。

初回の弁護士費用は無料となっています。面会に行った弁護士は、逮捕された人に対して、保証されている権利や今後の手続き、見込み、取り調べを受ける際の注意点などについて話します。希望があれば、そのまま弁護人として就任し、国選弁護人がつけてもらえない起訴前の段階での被疑者の権利を守ることになります。

逮捕され72時間以内に勾留決定がなされると、そのまま警察署に留まらなければなりません。この拘留決定にあたり、被疑者は裁判官の前で弁解する機会があたえられています。その際に裁判官から当番弁護士制度の説明がなされ、希望があれば弁護士会に連絡がされ、弁護士会から各当番弁護士に出勤の文書が送られてくることになります。

国選弁護人

国選弁護人

当番弁護士と似た制度に、「国選弁護人制度」があります。

以前は、国選弁護人がつけられる対象は、被告人に限られていましたが、これでは、起訴前の逮捕された人の保証が不十分になることから、2006年から被疑者段階でも国際弁護人をつけられるようになりました。

では、当番弁護士と、国選弁護人の違いとは何でしょう?

  1. 費用の負担
    ひとつは、弁護士費用の負担する相手がだれか、という点です。国選弁護人は、国がその費用を負担しています。税金で賄われているという観点から利用に制限があり、一定の資力がない人(50万以上の預貯金)という制限が設けられています。
    これに対し、当番弁護士は、弁護士による無償のボランティア活動ということになります。この場合も制限あり、当番弁護士がつけれるのは、1つの事件につき、1回となっています。
  2. 弁護士を呼べる事件についての制限
    2つ目の違いは、弁護士を呼べる事件に制限がある点です。当番弁護士については、対象事件に制限はありません。一方、国選弁護人はそもそも被告人を対象にしており、2006年に拡充されたとはいえ、対象事件に制限があります。

検察官

検察官

検察官の魅力

  • 専門知識を駆使してのチームワーク捜査
    検察官は検事総長を頂点とする公務員で、その地位の安定性は高く、近年女性の検察官も増えています
    また専門知識を駆使してのチームワークによる捜査は、連帯感・充実感共に検察官の魅力となっています。
  • 巨悪を糾す特捜部
    検察の組織は、東京・大阪・名古屋に、花形と呼ばれる特捜部が置かれています。経済犯罪や政治家の汚職などは警察の手に余るため、選りすぐりのプロ集団が特捜部として捜査にあたります。この特捜部に配属されると4~8年はじっくりと腰を据えて仕事に取り組むことができます。

検察官の仕事内容

検察官のみが持つ起訴権

起訴をする権限は検察官が独占し、起訴・不起訴の決定は検察官の裁量にかかっています。被疑者に十分な嫌疑がある場合には「起訴」し、その有罪率はほぼ100%と言われます。しかし仮に嫌疑が十分にあったとしても、犯人の性格・年齢及び境遇・犯罪の軽重・情状・犯罪後の状況等により「不起訴」にすることが許されています。犯罪者としてどう裁かれるかは検察官の判断一つにかかっているため、非常に責任の重い仕事です。

巨大な組織をバックに社会正義を貫く

検察という組織は、他の行政機関同様に上命下服の原則が行き渡る強大な組織です。他方検察官は独立性も有しており、各自が自己の名で検察権を行使する旨が定められています。

積極的な捜査活動による真相解明

検事の仕事は、刑事事件の捜査・公判の活動が中心になりますが、それは、事件の「真相解明」に尽きることになります。そのため証拠を集め、疑問点をひとつひとつ解明していくことになります。わからなければ法医学者など専門家の協力を求めながら、納得いくまで自分で調べることができます。その点において、検事という仕事は事案について一番真相を解明できる仕事といえます。

公判

公判では、これまでの捜査で解明した事案の真相を立証していきます。立証活動のメインは、証人尋問になります。また、平成21年5月から施行されている裁判員裁判では、一般市民の裁判員なのでこれまで以上に分かりやすくするなど、立証活動にも工夫が必要です。

司法の中心としての活動

捜査・公判活動のみならず、「政府の法律家」として様々な国家機関で仕事をしています。法務省に勤務して立法に関連する法案の作成や、他省庁への出向、刑事事件として告発することもある証券取引等監査委員会公正取引委員会への出向、外務省に出向して外務官の身分を得て大使館勤務など、職域の幅はとても広いです。

所属先について

検察官には毎年70名程度が任官しています。

大都市や高等検察庁が置かれている大きな検察庁は、「部制庁」と呼ばれ、刑事部・特別捜査部・公安部などに分かれており、分野に応じて「担当部」の検事がそれぞれの担当分野を中心とした仕事をしています。

逆に、他の地検や支部など小さな規模の検察庁は「非部制庁」と呼ばれ、事件の捜査を担当するだけでなく担当した事件の捜査から公判まですべてを担当します。

係検事

上記に述べたのは「部門」という組織割の観点からみた配属先でしたが、別の観点から設けられている制度として「係検事」というのがあります。この制度は部制庁・非部制庁の区別なく、特定の分野ごとにその分野を主に担当する検事を割り当てる制度になります。

係検事の種類としては、

  • 殺人など凶悪な重大事件を取り扱う「本部係」
  • 財政経済事件に関する事犯を担当する「財政経済係」
  • 思想・信条がかかわる事犯を担当する「公安労働係」
  • 不法入国のような外国人が中心となる人を担当する「外事係」
  • 暴力団関係の事犯を担当する「暴力係」
  • 賭博など社会風紀に関する事犯を担当する「風紀係」
  • 覚せい剤など違法薬物に関する事犯を担当する「麻薬係」
  • 不法投棄や廃棄物処理の違法営業などに関する事犯を担当する「環境係」
  • 少年事件を中心とする事犯を担当する「少年係」
  • 修習生の指導にあたる「指導係」

があります。

最近では、

  • 裁判員裁判対象事件の捜査・公判に専従する検事
  • 医事や海事などの特殊分野の係検事

が置かれることもあります。係検事だからといって、担当分野だけの内容を扱うわけではありません。規模が小さい庁では、一人の検事が複数の係を兼任する場合もあります。

裁判官

裁判官

裁判官の魅力

  • 真実を求め公平を実現する法の天秤
    裁判官は憲法と法律のみに拘束され、他のあらゆる力から独立して働く存在です。紛争に妥当な判断を下し、公正さを具体化することを期待されるが故に与えられるこの強い身分保障は、同時に裁判官として厳格な日々を過ごす者の誇りでもあります。
  • 後見的な役割
    裁判官の仕事は、真実を発見してそれに応じて判決を下すだけではありません。例えば、民事事件では当事者の利害を調整して和解に持っていったり、家庭内の事件であれば関係者で話し合う機会を設けたりします。また、刑事事件では被害者感情はもちろんのこと、被告人の反省態度・更生の可能性を考慮して刑の量定をするなど、単に紛争を解決するだけでなく、いわば後見的な役割を果たすことも求められています。

裁判官の仕事内容

裁判官の主な仕事

当事者双方の言い分を聞いて公平中立な第三者的立場から事件を解決することです。どのような解決をするかによって、当事者をはじめとした関係者の一生を左右しかねないので、きわめて責任の重い仕事であるといえます。

任官後の流れ

裁判官に任官すると、まずは「未特例判事補」という身分になります。この段階では一人で裁判することは許されず、裁判官2人以上で構成される合議体の一員として手続きに関与することになり、裁判長にはなれません。とはいえこの時期は、将来自分が単独事件を取り扱うための準備として、裁判長の訴訟指揮などの仕事ぶりをしっかりと学ぶ大事な時期になります。

任官して5年以上の経験を積むと「特例判事補」になり、単独で裁判をすることができます。一定の条件下のもとで裁判長を務めることができ、ある程度は判事と変わらない業務を行うことができます。つまり最終的な判断である判決を自分の信念に基づいて自分の名前で行うことになります。そのためやりがいは大きくなりますが、反面責任はかなり大きくなります。

さらに10年後に「判事」という身分になり、ここで一人前の裁判官になります。

その後、個人の資質により最高裁判所長官・高等裁判所長官などの重い役職になり、合議体を指導し事件処理を行うことになります。まれに弁護士から裁判官になる「弁護士任官」があり、「民事調停員(非常勤裁判官)」・「常勤裁判官」という2つの職種があります。

常勤裁判官

判事となる者一人ひとりがそれぞれ法律家として多様で豊かな知識・経験を備えることが重要であるとし、幅広い社会経験を持つ弁護士を任用することで、司法がより身近で頼りがいがあるものとなることを期待しています。

応募基準

(形式的基準)

  • 弁護士経験10年以上の判事任官、または弁護士3年以上の判事補任官があること
  • 応募時に55歳未位までを基本とする
  • 懲戒処分を受けたことがないこと

(実質的基準)

  • 法律家としての能力、識見、(事実認定能力・事件処理に必要な理論上及び実務上の専門的知識能力・幅広い教養に支えられた視野の広さ)
  • 人物・性格においては、公正さ・寛容さ・判断力・協調性・基本的人権と正義を尊重する心情

などがあります。

「民事調停員・家事調停員(非常勤裁判官)」

弁護士としての身分を持ったまま週1日裁判所に登庁して、民事調停または家事調停に関し裁判官と同等の権限を持って調停手続きを行います。弁護士としての知識・経験を生かすことができるような、複雑で法的な問題点が多い事件を担当することになります。通称「非常勤裁判官」と呼ばれています。

任官は2年で、1回に限り再任されることが可能なので、合計4年間勤務できます。

応募条件
・週1回、丸1日勤務ができること
・弁護士経験が5年以上(非常勤裁判任官時。応募時については、5年未満でも可)
・任官時に55歳位までを基本とする
・懲戒処分を受けたことがないこと
実質的基準は、常勤裁判官と同じ内容が求められます。

非常勤裁判官の中には、その後、常勤裁判官になった方もいます。
今後も、非常勤裁判官の経験を踏まえて常勤裁判官になる方が増えることが期待されています。

裁判官としての裁判以外仕事(出向)

場合によっては、他職を経験することもあります。

法務省での行政事務、法律事務所での弁護士職務、行政官庁での行政事務、公正取引委員会や金融庁・証券取引等監査委員会・国税不服審判所などでの行政事務、在外公館での外交事務、海外留学などもあります。

出向により様々な知識や経験を得てその視野を広めることになると同時に、出向先には法的な考え方を理解してもらい、組織のコンプライアンスに役立ててもらうことができます。

転勤について

裁判官になると、3、4年ごとに転勤があり配属先が変わります。その範囲も日本全国に及びます。

具体的には「判事補」として任官されたあと最初の2年半を大規模庁で勤務し、その後はおおむね3年のサイクルで異動を繰り返します。任官10年を過ぎて裁判長を務めるようになると、勤務期間が長くなる傾向があるようです。通常は3月末の年度が替わるタイミングで転勤があります。

法曹三者の仕事 まとめ

法曹三者は高いステータス性・収入を手にできる一方、個人や社会に大きな影響を持つ責任の重い仕事を担うことになります。

また社会の変化に対応して多様な業務が生まれており、法曹三者が必要とされるフィールドは広がり続けています。特に企業内弁護士(インハウスローヤー)の需要は、先進技術の発達とともに急激な需要増となっています。

これらの大きな利益・名誉・やりがいは、司法試験という国内最高峰の試験に合格し、ハードな司法修習を経た者のみが手にできる特権だと言えるでしょう。

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