公認会計士は在学中の合格者も多い資格であり、キャリアの選択肢を広げたい大学生にとって人気の高い国家資格です。一方で、「いつから学習を始めればよいか分からない」という声もよく聞かれます。ここでは、在学中合格を目指す場合の学習開始時期の目安について解説します。
学習開始の目安は大学1〜2年生
公認会計士試験の合格に必要な勉強時間は3,000〜5,000時間が目安とされ、標準的な受験期間は1.5〜2年程度です。大学の授業やサークル活動と両立しながら学習を進めることを考えると、大学1年生の後半から2年生にかけて学習をスタートし、3〜4年生での在学中合格を目指すのが一般的なモデルケースといえます。
もちろん、3年生や4年生から学習を始めて合格する例もありますが、その場合は在学中の合格が難しく、就職活動の時期と受験勉強が重なりやすくなる点に注意が必要です。早期に学習を始めるほど、就職活動のタイミングで「合格者」として臨めるかどうかの選択肢が広がります。
学年別の学習スケジュールの考え方
- 大学1年生:簿記の基礎を固めながら、公認会計士試験の全体像(科目構成・出題範囲)を把握する期間。
- 大学2年生:財務会計論・管理会計論を中心に基礎を固め、短答式試験の過去問演習に着手する期間。
- 大学3年生:短答式試験の合格を目指しつつ、企業法・監査論・租税法など残りの科目の学習を並行して進める期間。
- 大学4年生:論文式試験に向けた答案練習・直前対策に集中し、就職活動とのバランスを取る期間。
出遅れたと感じても諦める必要はない
学習開始が3年生以降になった場合でも、在学中合格にこだわらず、卒業後1〜2年での合格を目指すプランに切り替えれば十分に挑戦可能です。重要なのは開始時期そのものよりも、学習を始めた時点から逆算して無理のないスケジュールを組み、途中で計画を見直しながら継続することです。予備校・通信講座のカリキュラムを活用すれば、自分の開始時期に合わせた最適な学習プランを提案してもらえます。
令和7年試験の合格者はどの年齢層が多いのか
学習開始時期を考えるうえで、実際の合格者がどの年齢層に集中しているかは参考になります。公認会計士・監査審査会の公表資料によると、令和7年公認会計士試験の最終合格者は1,636人(願書提出者22,056人、合格率7.4%)で、合格者の平均年齢は24.6歳でした。年齢別の内訳は次のとおりです。

| 年齢区分 | 合格者数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 20歳未満 | 26人 | 1.6% |
| 20〜25歳未満 | 1,002人 | 61.2% |
| 25〜30歳未満 | 431人 | 26.3% |
| 30〜35歳未満 | 119人 | 7.3% |
| 35歳以上 | 58人 | 3.5% |
20歳以上25歳未満の合格者が全体の約6割を占めており、大学在学中から卒業直後にかけての年代に合格者が集中していることが分かります。一方で25歳以上の合格者も約4割いるため、「在学中に合格できなかったら終わり」ということはありません。年齢構成の数字は、大学1〜2年生のうちに学習を始める意義と、卒業後に挑戦しても遅くないことの両方を示しています。
学習時間から逆算する開始時期の考え方
開始時期は「いつ受験したいか」から逆算して決めるのが基本です。合格に必要な学習時間の目安である3,000〜5,000時間を、確保できる期間で割ると、1週間あたりに必要な学習時間の目安が見えてきます。下の表は、休暇期間を含めて年間を通じて一定のペースで学習した場合の単純な試算です。
| 確保できる期間 | 総学習時間3,000時間の場合 | 総学習時間4,000時間の場合 |
|---|---|---|
| 1.5年(約78週) | 週あたり約38時間 | 週あたり約51時間 |
| 2年(約104週) | 週あたり約29時間 | 週あたり約38時間 |
| 3年(約156週) | 週あたり約19時間 | 週あたり約26時間 |
たとえば大学の授業に週20時間程度を使っている学生が、さらに週30時間前後を学習に充てるのは容易ではありません。そのため、在学中に合格したい場合は、授業の負担が比較的軽い1〜2年生のうちから学習を始めて、期間を長めに確保する方が現実的です。逆に、開始が遅れるほど1週間あたりの学習量を増やす必要が出てきます。
大学のカレンダーと試験日程の関係
公認会計士試験は、短答式試験が年2回(第Ⅰ回は12月、第Ⅱ回は翌年5月)、論文式試験が年1回(8月)実施されます。令和8年試験では、第Ⅱ回短答式試験が5月24日、論文式試験が8月21日から23日で、論文式試験の合格発表は11月下旬です。大学生活の主なイベントと重ねると、次のような流れになります。
| 時期 | 試験・大学のイベント | 学習上のポイント |
|---|---|---|
| 4〜7月 | 前期授業・第Ⅱ回短答式試験(5月) | 短答式試験直前は授業との両立が最も難しい時期。試験前の履修計画を早めに立てる |
| 8〜9月 | 論文式試験(8月)・夏季休暇 | 夏季休暇は1年で最もまとまった学習時間を確保できる期間 |
| 10〜12月 | 後期授業・第Ⅰ回短答式試験(12月)・論文式試験の合格発表(11月下旬) | 後期のテスト期間と短答式試験が近いため、逆算した準備が必要 |
| 2〜3月 | 春季休暇 | 弱点科目の補強や、次の試験に向けた総復習に充てやすい期間 |
在学中合格と就職活動の両立
公認会計士試験に合格した後は、監査法人などで実務経験(業務補助等)を積みながら実務補習を受け、修了考査に合格して初めて公認会計士として登録される流れが一般的です。そのため、多くの受験生は合格の前後で監査法人等への就職活動を行います。論文式試験を受験する年に就職活動が重なると、精神的にも時間的にも負担が大きくなります。
- 学習開始が早い場合:3年生までに短答式試験に合格し、4年生の論文式試験に集中できるため、就職活動との重なりを小さくしやすくなります。
- 学習開始が遅い場合:4年生で短答式・論文式の両方に向き合うことになり、就職活動と受験勉強が同時進行になりがちです。
- 合格前に内定を得たい場合:採用スケジュールは監査法人や企業ごとに異なるため、各法人の公式サイトで最新の採用情報を確認してください。
学習開始時期でよくある失敗と対策
- 簿記の学習に時間をかけすぎる:日商簿記の学習は基礎固めに役立ちますが、受験資格ではありません。簿記検定の高い級にこだわりすぎて本試験の対策が遅れないよう、予備校のカリキュラムに沿って進めるのが安全です。
- 大学の単位を落として学習時間が減る:必修科目や出席が必要な授業を軽視すると、留年や履修の詰め込みにつながります。学習と単位取得の両立を最優先に考えましょう。
- サークル・アルバイトとの時間配分を決めていない:週あたりの学習時間から逆算して、先に学習時間を確保し、その残りで他の活動を組み立てる方が継続しやすくなります。
- 計画を一度も見直さない:模試や短答式試験の結果をもとに、半年ごとにスケジュールを調整する習慣をつけましょう。
学習開始前に確認したいチェックリスト
- 受験資格に年齢・学歴の制限がないこと(公認会計士・監査審査会の案内で確認済み)を理解している
- 受験手数料は19,500円で、令和7年試験以降はインターネット出願のみの受付になっている
- 週あたり確保できる学習時間を、授業・アルバイトを含めて具体的に書き出した
- 1.5年〜2年程度で短答式試験に合格する計画と、その後の論文式試験までの流れをイメージできている
- 予備校・通信講座の体験講義や資料請求で、自分に合う講師・教材かを確認した
よくある質問
Q. 大学1年生から始めないと在学中合格はできませんか?
必ずしもそうではありません。ただし、標準的な受験期間が1.5〜2年程度とされていることを考えると、3年生の終わりまでに短答式試験の合格を狙い、4年生の論文式試験で合格するには、遅くとも2年生のうちには学習を始めておくのが理想です。3年生から始めて在学中に合格する方もいますが、その場合は学習時間を大きく確保する必要があります。
Q. 高校生のうちから始めても意味がありますか?
20歳未満で合格する方もいますが、これはごく例外的なケースです。大学入試の準備が最優先になるため、無理に前倒しする必要はありません。大学入学後に落ち着いてから計画を立てても十分間に合います。
Q. 大学の授業と予備校の授業が重なった場合はどうすればよいですか?
通信講座(Web講座)を選べば、講義を録画で視聴できるため時間割の制約を受けにくくなります。通学型の講座でも、振替受講や映像での補講が用意されている場合が多いため、申込前にサポート内容を確認しておくとよいでしょう。
Q. 一度不合格になっても再挑戦できますか?
受験資格に制限はなく、何度でも挑戦できます。また、短答式試験に合格すると、合格発表の日から2年を経過する日までに行われる短答式試験が免除されます。論文式試験の一部科目に合格した場合も、同様に2年間、その科目の免除を受けられます。詳細は公認会計士・監査審査会の案内をご確認ください。
公認会計士のおすすめ通信講座
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